デンソーとアイシン(旧アイシン精機)はトヨタグループの自動車部品メーカーである。デンソーは自動車の電装部品を中心に、幅広い自動車部品を展開する世界2位のメガサプライヤである。一方アイシンは駆動系を中心に展開し、ATでは世界首位を誇る。
ここでは、トヨタ、デンソー、アイシンの関係と違いを見ていく(2024年3月時点)。
トヨタとデンソー、アイシンの資本関係
トヨタとデンソー、アイシンの資本関係を下の図に示す(数字は議決権の所有割合)。
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「子会社」とは「親会社」が経営を支配している会社である。「関連会社」とは「その他の関係会社」が重要な影響を与えることができる子会社以外の会社である(詳細は文末)。
デンソーとトヨタは、デンソーが関連会社、トヨタがその他の関係会社という関係である。同様に、アイシンとトヨタは、アイシンが関連会社、トヨタがその他の関係会社という関係である。
この3社に親会社や子会社といった関係はない。デンソーとアイシンは関連会社であるが、一般にはトヨタグループの一社であり、トヨタ系自動車部品メーカーの一社であると認識される。
【 子会社と関連会社 一覧 】
トヨタ自動車 デンソー アイシン
デンソーとアイシンのトヨタとの関係
デンソーとアイシンの出自
デンソーの出自は、1949年に旧トヨタ自動車工業(現トヨタ自動車)から分離独立した日本電装である。1951年に上場を果たした。1996年にデンソーと商号を変更し、現在に至る。
アイシンの出自は、1943年に旧トヨタ自動車工業と旧川崎航空機(現川崎重工業)の共同出資により設立された東海飛行機である。1945年、東海飛行機は東新航空機を設立した。終戦後、両社は愛知工業、新川工業となる。
1965年、愛知工業が新川工業を吸収合併し社名をアイシン精機と変更した。2021年アイシン精機は子会社のアイシンAWを吸収合併、社名をアイシンと変更し現在に至る。
デンソーとアイシンのトヨタへの依存
デンソーとアイシンは世界的な自動車部品メーカーとなった現在でも、それぞれ売上の約50%、約60%をトヨタグループに依存している。
※詳細記事:デンソーとアイシンのトヨタへの依存について
トヨタがデンソーとアイシンの経営へ与える影響
デンソーの取締役会には少なくとも1名のトヨタ出身者がいる。またアイシンの取締役会には少なくとも3名のトヨタ出身者がいる。
トヨタは20%を超えるデンソーとアイシンの議決権を所有している両社の筆頭株主である。上述のように、トヨタ自動車は関連会社であるデンソーとアイシンの経営に重要な影響を与えることが出来る。
※詳細記事:デンソーとアイシンにおけるトヨタ出身役員について
以上のようにデンソーとアイシン、トヨタ自動車には深い関係がある。特にトヨタグループへの売上の依存は大きく、”トヨタ系” の域を出られない所以である。
デンソーはトヨタを超えるか
デンソーやアイシンはメガサプライヤと言われ、その売上高はマツダやSUBARU、三菱自動車などの中堅自動車メーカーよりも大きい。ただ、世界2位のサプライヤであるデンソーをもってしても、依然としてトヨタの背中は遠い。
次のグラフではトヨタとデンソー、アイシンの売上高と、参考としてホンダの売上高を加えて比較している。FY2021は2021年度を表す。
売上 [ 億円 ] | FY2019 | FY2020 | FY2021 |
トヨタ | 299,300 | 272,146 | 313,795 |
ホンダ | 149,310 | 131,705 | 145,527 |
デンソー | 51,535 | 49,367 | 55,155 |
アイシン | 37,846 | 35,258 | 39,174 |
トヨタは売上高で30兆円の規模を誇る。一方、デンソーやアイシンはそれぞれ5兆円、4兆円の規模であり、トヨタとは5~8倍程度の開きがある。またホンダとも3倍程度の開きがある。
次に4社の営業利益を比較している。
営業利益 [ 億円 ] | FY2019 | FY2020 | FY2021 |
トヨタ | 24,429 | 21,977 | 29,957 |
ホンダ | 6,336 | 6,602 | 8,712 |
デンソー | 611 | 1,551 | 3,412 |
アイシン | 561 | 1,453 | 1,820 |
トヨタの営業利益は3兆円の規模に対して、デンソーとアイシンはそれぞれ3,000億円、2,000億円の規模である。営業利益での比較では、さらに開きが大きくなっている。なお、トヨタの売上高や営業利益にデンソーやアイシンの売上高や営業利益は含まれていない。
次に2022年のある日の時価総額を比較している。
デンソー:6兆8,456億円
ホンダ:6兆1,570億円
アイシン:1兆2,700億円
特筆すべきは、デンソーがホンダの時価総額を超えていることである。売上高と営業利益ともに大きく上回るホンダに対して、デンソーの将来性への期待値が勝っている結果と言えるかも知れない。
ただ、もう一方のサプライヤであるアイシンの時価総額(つまり株価)は振るわない。
トヨタとデンソー、アイシンの評価と給与水準の比較
従業員として働く上での3社の違いを比較する。
社員・元社員による評価の比較
就活用の口コミサイト「就活会議」によると、トヨタとデンソー、アイシンの社員・元社員による会社評価は次の通り。総合評価(全ての項目の平均)では、トヨタが最も高く、デンソー、アイシンが続く形となった。
全ての評価項目において、トヨタはデンソーとアイシンを上回っている。同様に、デンソーは全ての評価項目でアイシンを上回っている。
トヨタ自動車 | デンソー | アイシン | |
総合評価 | 4.52 | 4.20 | 3.52 |
年収・評価 | 4.8 | 4.8 | 3.8 |
やりがい | 4.4 | 3.9 | 3.4 |
スキルアップ | 4.4 | 4.1 | 3.7 |
福利厚生 | 5.0 | 4.9 | 4.3 |
成長・将来性 | 4.7 | 4.4 | 3.0 |
社員・管理職 | 4.6 | 3.9 | 3.4 |
ワークライフ | 4.7 | 4.2 | 3.7 |
女性の働きやすさ | 4.7 | 4.5 | 3.9 |
入社後のギャップ | 4.1 | 3.6 | 3.0 |
退職理由 | 3.8 | 3.7 | 3.0 |
詳細な口コミや評価の内容は以下の出典サイトにて。
【出典】
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トヨタとデンソー、アイシンの給与水準の比較
3社の給与水準は次の通り(2024年3月時点)。
【 トヨタ自動車 】
従業員数:70,224
平均年齢:40.6
平均年間給与:899万円
【 デンソー 】
従業員数:43,980
平均年齢:44.7
平均年間給与:839万円
【 アイシン 】
従業員数:35,099
平均年齢:39.8
平均年間給与:698万円
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親会社と子会社、関連会社とは
「親会社」「子会社」もしくは「その他の関係会社」「関連会社」の関係を下の図に示す(数字は議決権の所有割合)。これらを全てまとめて「関係会社」と呼ぶ。
基本的に、図に示す議決権の所有割合によって関係が決まることが多い。ただし、その会社の重要性や具体的な関係などを考慮する場合もあり、常に議決権の所有割合によって決まる訳ではない。
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