トヨタとデンソー、アイシンの関係と違い

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デンソーとアイシンはトヨタグループの自動車部品メーカーである。デンソーは自動車の電装部品を中心に、幅広い自動車部品を展開する世界2位のメガサプライヤ。一方アイシンは駆動系を中心に展開し、ATでは世界首位である。

ここでは、トヨタとデンソー、アイシンの関係と違いを見ていく(2023年3月時点)。

トヨタとデンソー、アイシンの資本関係

トヨタとデンソー、アイシンの資本関係を下の図に示す(数字は議決権の所有割合)。

Toyota-group-denso-aisin-relationship-2023

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「子会社」とは「親会社」が経営を支配している会社である。「関連会社」とは「その他の関係会社」が重要な影響を与えることができる子会社以外の会社である(詳細は文末)。

デンソーとトヨタは、デンソーが関連会社、トヨタがその他の関係会社という関係である。同様に、アイシンとトヨタは、アイシンが関連会社、トヨタがその他の関係会社という関係である。

この3社に親会社や子会社といった関係はない。デンソーとアイシンは関連会社であるが、一般にはトヨタグループの一社であり、トヨタ系自動車部品メーカーの一社であると認識される。

【 子会社と関連会社 一覧 】
トヨタ自動車 デンソー アイシン

デンソーとアイシンのトヨタとの関係

デンソーとアイシンの出自

デンソーの出自は、1949年に旧トヨタ自動車工業(現トヨタ自動車)から分離独立した日本電装である。1951年に上場を果たした。1996年にデンソーと商号を変更し、現在に至る。

アイシンの出自は、1943年に旧トヨタ自動車工業と旧川崎航空機(現川崎重工業)の共同出資により設立された東海飛行機である。1945年、東海飛行機は東新航空機を設立した。終戦後、両社は愛知工業、新川工業となる。

1965年、愛知工業が新川工業を吸収合併し社名をアイシン精機と変更した。2021年アイシン精機は子会社のアイシンAWを吸収合併、社名をアイシンと変更し現在に至る。

デンソーとアイシンのトヨタへの依存

デンソーとアイシンは世界的な自動車部品メーカーとなった現在でも、それぞれ売上の約50%、約60%をトヨタグループに依存している。

※詳細記事:デンソーとアイシンのトヨタへの依存について

トヨタがデンソーとアイシンの経営へ与える影響

デンソーの取締役会には少なくとも1名のトヨタ出身者がいる。またアイシンの取締役会には少なくとも3名のトヨタ出身者がいる。

トヨタは20%を超えるデンソーとアイシンの議決権を所有している両社の筆頭株主である。上述のように、トヨタ自動車は関連会社であるデンソーとアイシンの経営に重要な影響を与えることが出来る。

※詳細記事:デンソーとアイシンにおけるトヨタ出身役員について

以上のようにデンソーとアイシン、トヨタ自動車には深い関係がある。特にトヨタグループへの売上の依存は大きく、”トヨタ系” の域を出られない所以である。

デンソーはトヨタを超えるか

デンソーやアイシンはメガサプライヤと言われ、その売上高はマツダやSUBARU、三菱自動車などの中堅自動車メーカーよりも大きい。ただ、世界2位のサプライヤであるデンソーをもってしても、依然としてトヨタの背中は遠い。

次のグラフではトヨタとデンソー、アイシンの売上高と、参考としてホンダの売上高を加えて比較している。FY2021は2021年度を表す。

toyota-honda-denso-aisin-revenue-comparison

売上 [ 億円 ]FY2019FY2020FY2021
トヨタ299,300272,146313,795
ホンダ149,310131,705145,527
デンソー51,53549,36755,155
アイシン37,84635,25839,174

トヨタは売上高で30兆円の規模を誇る。一方、デンソーやアイシンはそれぞれ5兆円、4兆円の規模であり、トヨタとは5~8倍程度の開きがある。またホンダとも3倍程度の開きがある。

次に4社の営業利益を比較している。

toyota-honda-denso-aisin-operating-profit-comparison

営業利益 [ 億円 ]FY2019FY2020FY2021
トヨタ24,42921,97729,957
ホンダ6,3366,6028,712
デンソー6111,5513,412
アイシン5611,4531,820

トヨタの営業利益は3兆円の規模に対して、デンソーとアイシンはそれぞれ3,000億円、2,000億円の規模である。営業利益での比較では、さらに開きが大きくなっている。なお、トヨタの売上高や営業利益にデンソーやアイシンの売上高や営業利益は含まれていない。

次に2022年のある日の時価総額を比較している。

トヨタ:36兆4,884億円
デンソー:6兆8,456億円
ホンダ:6兆1,570億円
アイシン:1兆2,700億円

特筆すべきは、デンソーがホンダの時価総額を超えていることである。売上高と営業利益ともに大きく上回るホンダに対して、デンソーの将来性への期待値が勝っている結果と言えるかも知れない。

ただ、もう一方のサプライヤであるアイシンの時価総額(つまり株価)は振るわない。

トヨタとデンソー、アイシンの評価と給与水準の比較

従業員として働く上での3社の違いを比較する。

社員・元社員による評価の比較

就活用の口コミサイト「就活会議」によると、トヨタとデンソー、アイシンの社員・元社員による会社評価は次の通り。総合評価(全ての項目の平均)では、トヨタが最も高く、デンソー、アイシンが続く形となった。

全ての評価項目において、トヨタはデンソーとアイシンを上回っている。同様に、デンソーは全ての評価項目でアイシンを上回っている。

トヨタ自動車デンソーアイシン
総合評価4.524.203.52
年収・評価4.84.83.8
やりがい4.43.93.4
スキルアップ4.44.13.7
福利厚生5.04.94.3
成長・将来性4.74.43.0
社員・管理職4.63.93.4
ワークライフ4.74.23.7
女性の働きやすさ4.74.53.9
入社後のギャップ4.13.63.0
退職理由3.83.73.0

詳細な口コミや評価の内容は以下の出典サイトにて。

【出典】
企業の口コミ、ES・面接情報が見れる「就活会議」
・就活生向け。
・社員や元社員・内定者の口コミや評価を掲載。
・無料、ログイン必要。

トヨタとデンソー、アイシンの給与水準の比較

3社の給与水準は次の通り。

【 トヨタ自動車 】
従業員数:70,710
平均年齢:40.4
平均年間給与:857万円

【 デンソー 】
従業員数:45,152
平均年齢:44.2
平均年間給与:787万円

【 アイシン 】
従業員数:36,489
平均年齢:38.4
平均年間給与:672万円

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親会社と子会社、関連会社とは

「親会社」「子会社」もしくは「その他の関係会社」「関連会社」の関係を下の図に示す(数字は議決権の所有割合)。これらを全てまとめて「関係会社」と呼ぶ。

資本関係説明

基本的に、図に示す議決権の所有割合によって関係が決まることが多い。ただし、その会社の重要性や具体的な関係などを考慮する場合もあり、常に議決権の所有割合によって決まる訳ではない。

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