中国電力は、中国地方を地盤とする電力会社である。ここでは中国電力と中電工、中国電力ネットワークの違いと関係を見ていく(2022年3月時点)。
中国電力と中電工、中国電力ネットワークの資本関係
下の図に、中国電力と中電工、中国電力ネットワークの資本関係を示す(数字は議決権の所有割合)。
「子会社」とは「親会社」が経営を支配している会社である。「関連会社」とは「その他の関係会社」が重要な影響を与えることができる子会社以外の会社である(詳細は文末)。
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中電工と中国電力
中電工は中国地方を地盤とする電設工事会社であり、上場会社(東証プライム)である。中電工と中国電力は、中電工が関連会社、中国電力がその他の関係会社という関係となっている。
中電工の売上高と、そのうち中国電力を顧客とする売上高を示す。中電工は、おおむね20%を中国電力(もしくはグループ会社)に依存している。
中電工の売上高:1,845億円
うち中国電力向け:390億円(21.1%)
【 2022年 3月期 】
中電工の売上高:1,907億円
うち中国電力向け:387億円(20.3%)
なお中国電力の子会社に中電工業があるが、中電工と中電工業は異なる会社である。中電工業は中国電力から建築・塗装工事を請け負う。中電工の出自は1944年設立の中国電気工事で、1990年に現在の社名となった。
中国電力は中電工の他に、瀬戸内共同火力、海田バイオマスパワー、中国電機製造などを関連会社としている。
中国電力が所有する瀬戸内共同火力と海田バイオマスパワーの議決権の割合はいずれも50%である。瀬戸内共同火力の残り50%の所有者はJFEスチール、海田バイオマスパワーの残り50%の所有者は広島ガスとなっている。
中電工は、早水電機工業や昭和コーポレーションを子会社として抱える。また中電工は投資会社のC&Cインベストメントの議決権の50%を所有し関連会社としている。C&Cインベストメントは、中国電力の持分法を適用しない非連結子会社である。
中国電力ネットワークと中国電力
中国電力ネットワークは、中国地方を地盤とする送配電事業を営む非上場会社である。中国電力ネットワークと中国電力は、中国電力ネットワークが子会社、中国電力が親会社という関係となっている。
2020年4月からの改正電気事業法は一般送配電事業と発電事業または小売電気事業の兼業を原則禁止としている。これに対応するため中国電力ネットワークは設立され、中国電力の送配電事業と離島の発電事業などを受け継いだ(法的分離)。
法的分離は大きく2つの形態によって行われた。中国電力や関西電力、北陸電力などは下の図の右側に示す形態である。
一方、東京と中部は中国や関西などとは異なり、図の左側の形態をとる。東京は東京電力ホールディングス(持株会社)に東京電力パワーグリッドと東京電力エナジーパートナーがぶら下がる形態。同様に中部は中部電力(持株会社)に中部電力パワーグリッドと中部電力ミライズがぶら下がる形態としている。
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親会社と子会社、関連会社とは
「親会社」「子会社」もしくは「その他の関係会社」「関連会社」の関係を下の図に示す(数字は議決権の所有割合)。これらを全てまとめて「関係会社」と呼ぶ。
基本的に、図に示す議決権の所有割合によって関係が決まることが多い。ただし、その会社の重要性や具体的な関係などを考慮する場合もあり、常に議決権の所有割合によって決まる訳ではない。
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