トヨタ自動車とマツダ、スズキ、スバルの資本関係と提携

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近年、国内の自動車メーカーは大手3社を中心に3つの陣営に集約されてきた。トヨタを中心とする緩い連合、ルノー・日産・三菱自動車のアライアンス、そしてホンダである。ここではトヨタを中心とする陣営について見ていく(2022年3月時点)。

※関連記事:トヨタ傘下の自動車メーカー 一覧

トヨタ自動車とマツダ、スズキ、スバルの資本関係

独自のブランドを持つ自動車メーカーとトヨタの資本関係を図に示す。

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「子会社」とは「親会社」が経営を支配している会社である。「関連会社」とは「その他の関係会社」が重要な影響を与えることができる子会社以外の会社である(詳細は文末)。

ダイハツ、日野、スバル(SUBARU)に記載の数字はトヨタによる議決権の所有割合、マツダ、スズキの数字は相互の所有株式数の割合である。ここでは(議決権の所有割合)≒(所有株式数の割合)と考えて問題ない。

【 子会社と関連会社 一覧 】
トヨタ SUBARU スズキ マツダ

SUBARUとトヨタ

SUBARUとトヨタは、SUBARUが関連会社、トヨタがその他の関係会社という関係である。2019年に合意した資本業務提携により、SUBARUはトヨタの関連会社となった(トヨタ傘下となった)。

SUBARUとトヨタの提携関係は、SUBARU(旧富士重工)が米GMとの資本提携を解消した直後の2006年に締結した業務提携に始まる。古くは1968年に合意した日産との業務提携、2000年に合意したスズキとの業務提携もあった。

マツダとトヨタ

マツダとトヨタは提携関係にあり、株式を持ち合っている。ただし両社の時価総額の差から、トヨタはマツダの大株主(5.07%)であるのに対し、マツダがトヨタに与えられる影響(0.25%)は限定的である。

マツダは2017年にトヨタと「業務司法提携に関する合意書」及び「米国における乗用車共同生産に関する合弁契約」を交わしている。2018年にはトヨタと合弁でマツダトヨタマニュファクチャリングUSAを設立している。

トヨタ以前に提携関係にあったマツダとフォードとの関係は、1979年の資本提携が始まりであった。1996年にはフォードはマツダの株式保有比率を33.4%(≒1/3)にまで高め、株主総会での特別決議で拒否権を持つまでに至っていた。

これは、現在の日産と三菱自動車の関係と同様である。

スズキとトヨタ

スズキとトヨタは提携関係にあり、株式を持ち合っている。マツダの場合と同じく、トヨタはスズキの大株主(4.94%)であるのに対し、スズキがトヨタに与えられる影響(0.19%)は限定的である。

※「大株主」という語に明確な定義はない。ここではスズキとマツダが大株主としてトヨタを挙げている為、これに倣った。

スズキは2017年にトヨタと「業務提携に向けた覚書」を交わした後、2019年に「資本提携に関する合意書」を締結している。

トヨタ以前に提携関係にあったスズキと米GMとの関係は、1981年の資本及び業務提携に始まった。その後2000年、GMはスズキへの出資比率を20%まで高めていたが、2008年に資本提携を解消している。

2009年には独フォルクスワーゲン(VW)と資本提携および業務提携を締結したが、2年後の2011年にはスズキはこの提携の解除に乗り出している。スズキがVWとの契約を解除し、VWに対して株式の返還を求めた。スズキとVWの間で和解が成立したのは2016年である。

ダイハツ、日野自動車とトヨタ

ダイハツ、日野自動車とトヨタは、ダイハツ、日野自動車が子会社、トヨタが親会社という関係である。ダイハツは完全子会社、日野自動車は上場子会社となっている。

一般にトヨタグループという場合、トヨタ、ダイハツ、日野自動車、SUBARUを含めるが、マツダやスズキは含めない。あくまでトヨタグループより大きな概念であるトヨタ陣営の一員である

【 詳細記事 】
トヨタ自動車とダイハツ、日野自動車の関係と違い

トヨタの資本提携、業務提携など 一覧

トヨタ自動車が締結する資本提携や業務提携などの重要な契約は次の通り。主な契約を年代順にピックアップする。

◆ 2002年
プジョー シトロエン オートモービルズ SA:チェコにおいて小型乗用車を共同生産するため合弁契約を締結(トヨタ プジョー シトロエン オートモービル チェコを設立)。

中国第一汽車集団:中国における自動車の共同事業に関する基本合意書を締結。

◆ 2004年
広州汽車集団:中国において乗用車を生産・販売するため合弁契約を締結(広汽トヨタ自動車を設立)。

◆ 2006年
富士重工業(現SUBARU):業務提携。

◆ 2017年
スズキ:業務提携に向けた覚書を締結(2019年 資本提携)。

マツダ:業務資本提携。

◆ 2017年
マツダ:米国において乗用車を共同生産するため合弁契約を締結(マツダトヨタマニュファクチャリングUSAを設立)。

◆ 2019年
パナソニック:車載用角形電池事業に関する事業統合契約および合弁契約を締結(プライム プラネット エナジー&ソリューションズを設立)。街づくり事業に関する合弁契約を締結(プライム ライフ テクノロジーズを設立)。

SUBARU:業務資本提携拡大。

◆ 2020年
トヨタ プジョー シトロエン オートモービル チェコ:(現トヨタ モーター マニュファクチャリング チェコ)におけるチェコでの小型乗用車共同生産のための合弁契約を終了(株式取得により、子会社化)。

◆ 2021年
いすゞ自動車、日野自動車:商用事業における協業に関する共同企画契約を締結。

いすゞ自動車:資本提携。

いすゞ自動車、スズキ、日野自動車、ダイハツ工業:商用事業における協業に関する共同企画契約を締結(いすゞ自動車、日野自動車との共同企画契約を終了)。

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親会社と子会社、関連会社とは

「親会社」「子会社」もしくは「その他の関係会社」「関連会社」の関係を下の図に示す(数字は議決権の所有割合)。これらを全てまとめて「関係会社」と呼ぶ。

資本関係説明

基本的に、図に示す議決権の所有割合によって関係が決まることが多い。ただし、その会社の重要性や具体的な関係などを考慮する場合もあり、常に議決権の所有割合によって決まる訳ではない。

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