ここでは、京セラの事業内容について見ていく(2022年3月時点)。
京セラとは(ひと言で)
京都の本社を置く大手電子部品メーカー。セラミック関連に強みを持ちつつ、多角化経営に特徴がある。旧社名は京都セラミック。
京セラの沿革
京セラは1959年、京都市にて稲盛和夫により京都セラミックとして設立された。1970年、株式の額面を変更するため、京都セラミツクにより吸収合併される。1971年に大証、1972年に東証に上場。1980年にはニューヨーク証券取引所に上場を果たした。
1982年、商号を京セラと変更し現在に至る。1984年には第二電電企画(現 KDDI)を設立した。2018年、ニューヨーク証券取引所への上場を廃止。
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上場会社としての京セラと業種
京セラは東証プライム市場に上場し、業種は「製造業」の「電気機器」に分類される。「電気機器」には京セラの他、次の上場会社が名を連ねる。
京セラは同じ京都に本社を置く電子部品メーカーとして、村田製作所やロームとよく比較される。また関西に拠点を置く電機メーカーとしてパナソニックやシャープと比較されることも多い。
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業績と従業員の給与水準
京セラの売上高は直近10年、1兆円を超える規模を誇る。営業利益は1,000億円前後で推移しており、営業利益率は1桁台にとどまる。
売上高:1兆8,389億円
営業利益:1,489億円
営業利益率:8.1%
海外売上比率は66.6%で、売上の半分以上が海外である。国内向けの売上33.4%に、アジア26.4%、米国と欧州がそれぞれ18%程度と続く。
従業員の給与水準は次の通り。
平均年齢:40.5歳
平均年間給与:725万円
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京セラの将来性
ここでは成長性分析を通じて、京セラの将来性を占う。成長性分析では、売上高成長率と純利益増加率、総資産成長率、従業員増加率を用いる。
◆ 過去5年の売上高の推移は次の通り。売上高成長率は16.6%であった。
[ 億円 ] | 2018年3月 | 2019年3月 | 2020年3月 | 2021年3月 | 2022年3月 |
売上高 | 15,770 | 16,237 | 15,991 | 15,269 | 18,389 |
◆ 過去5年の純利益の推移は次の通り。純利益増加率は87.5%であった。
[ 億円 ] | 2018年3月 | 2019年3月 | 2020年3月 | 2021年3月 | 2022年3月 |
純利益 | 791 | 1,032 | 1,077 | 902 | 1,484 |
◆ 過去5年の総資産の推移は次の通り。総資産成長率は25.2%であった。
[ 億円 ] | 2018年3月 | 2019年3月 | 2020年3月 | 2021年3月 | 2022年3月 |
総資産 | 31,288 | 29,685 | 32,502 | 34,935 | 39,173 |
◆ 過去5年の従業員数の推移は次の通り。従業員増加率は9.3%であった。
[ 人 ] | 2018年3月 | 2019年3月 | 2020年3月 | 2021年3月 | 2022年3月 |
従業員数 | 75,940 | 76,863 | 75,505 | 78,490 | 83,001 |
京セラは4つの指標の全てでプラスとなっている。売上高成長率と総資産成長率は10%を超え、総資産成長率は20%を超える。成長率が高いことは、将来的な利益を期待できることを示唆している。
純利益に関しても増加しているものの、一定な成長を示していない。
事業セグメント
京セラはグループとして、次に示す3つのセグメントで事業を展開する。
・電子部品
・ソリューション
2022年3月期におけるセグメント別の売上高は次の通り。( )内は連結売上高に占める各セグメントの割合。ソリューションが最も大きく、京セラの売上高の半分を占める。
・コアコンポ:5,279億円(28.7%)
・電子部品:3,391億円(18.4%)
・ソリューション:9,837億円(53.5%)
なお全社消去分を含むため、売上高の合計は京セラの売上高と一致せず、割合の合計は100%とならない。各セグメントの事業内容は次の通り。
コアコンポーネント
コアコンポーネントはさらに、次のように分解できる。( )かっこ内は、2022年3月期の売上高。
・半導体関連部品(3,277億円)
・その他(273億円)
なお「その他」は、25億円の損失(赤字)を計上している。
◆ 産業・車載用部品
ファインセラミック部品や自動車部品、光学部品を主要な事業とする。
◆ 半導体関連部品
セラミックパッケージや有機基盤を主要な事業とする。
◆ その他
医療機器や宝飾などを扱う。
いずれもグループ内では京セラが中心となって事業を展開する。
電子部品
電子部品においては、コンデンサや水晶部品、コネクタ、センサなどを主要な事業とする。こちらも京セラが中心となって事業を展開する。
ソリューション
ソリューションはさらに、次のように分解できる。( )かっこ内は、2022年3月期の売上高。
・ドキュメントソリューション(3,667億円)
・コミュニケーション(2,623億円)
・その他(1,036億円)
なお「その他」は、71億円の損失(赤字)を計上している。
◆ 機械工具
切削工具や電動工具などを扱う。京セラの他、京セラインダストリアルツールズ(リョービの電動工具事業を子会社化)などが事業を展開する。
◆ ドキュメントソリューション
プリンタや複合機などを主要な事業とする。京セラドキュメントソリューションズなどが中心となって事業を展開する。
◆ コミュニケーション
スマホや通信モジュールなどを扱う。京セラの他、京セラコミュニケーションシステムなどが事業を展開する。
◆ その他
ディスプレイやプリンティングデバイスなどを扱う。京セラが中心となって事業を展開する。
京セラと稲盛和夫の関係
京セラは稲盛和夫によって設立された。設立当時の稲盛は、創業者ではあるが社長ではなく、取締役技術部長であった。稲盛は京セラの設立から7年後、1964年に3代目社長として就任し、以降20年にわたって在任した。
2代目社長:青山政次(稲盛の元上司)
3代目社長:稲盛和夫
稲盛が亡くなる直前の2022年3月時点において、稲盛は京セラの第5位の大株主として名を連ねていた。
2位:日本カストディ銀行
3位:京都銀行
4位:SSBTC CLIENT OMNIBUS ACCOUNT
5位:稲盛和夫
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