電機メーカーは、家電や電子部品、産業用機械からコンピュータに渡るまで、多くの製品やサービスを展開する。一口に電機メーカーと言っても、各社でビジネスモデルや事業領域が大きく異なるというのが業界の特徴である。
また、自動車部品や医療機器、ITなどの隣接分野に進出する例も多くみられる。特に多岐にわたる製品を製造・販売する電機メーカーを総合電機とよぶ。一方で、一般に電機メーカーとよばれない企業による電機分野への進出もある。
電機メーカーランキング
主要な電機メーカーとして、次のような企業が挙げられる。明確な定義はないが、一般にこのような企業を指して大手電機メーカーという。※Gはグループ、HDはホールディングスを表す。
1位、日立製作所(10兆2646億円)
2位、ソニーG(8兆3967億円)
3位、パナソニックHD(7兆3888億円)
4位、三菱電機(4兆4768億円)
5位、富士通(3兆5868億円)
6位、キヤノン(3兆5134億円)
7位、東芝(3兆3370億円)
8位、日本電気(NEC)(3兆0141億円)
9位、シャープ(2兆4956億円)
10位、東京エレクトロン(2兆0038億円)
1位、ソニーG(15兆7383億円)
2位、キーエンス(14兆2957億円)
3位、東京エレクトロン(8兆9405億円)
4位、日本電産(6兆2878億円)
5位、日立製作所(5兆9749億円)
6位、村田製作所(5兆7802億円)
7位、ファナック(4兆6277億円)
8位、キヤノン(3兆8045億円)
9位、富士通(3兆6546億円)
10位、三菱電機(3兆1284億円)
売上高ランキングと時価総額ランキングを見比べると、両者があまり一致していないことが分かる。つまり会社の規模や大きさ(売上高)と投資家からの評価や期待(時価総額)が一致していない業界といえる。
この原因の1つとして、各社で稼ぐ力が大きく異なっていることが挙げられる。売上高ランキングにのみ登場する企業と、時価総額ランキングにのみ登場する企業の売上高営業利益率を次に示す。※売上高営業利益率:営業利益÷売上高:稼ぐ力の指標の1つ
パナソニックHD(4.8%)
東芝(4.8%)
日本電気(NEC)(4.4%)
シャープ(3.4%)
キーエンス(55.4%)
日本電産(8.9%)
村田製作所(23.4%)
ファナック(25.0%)
売上高営業利益率の差異は、各社で事業領域が大きく異なるという点に依存する。売上高ランキングにのみ登場するのは総合電機とよばれる、幅広い事業領域でビジネスを展開する電機メーカーである。
一方で、時価総額ランキングにのみ登場するのは、事業領域を限定し高い利益を上げている専業メーカーというのが特徴である。キーエンスはセンサー、日本電産はモーター、村田製作所は電子部品、ファナックはNC装置を主力とする専業メーカーである。
また、海外の電機メーカーによる日本進出も多く、次のような企業が挙げられる(順不同)。
・GE(米国)
・シーメンス(ドイツ)
・サムスン電子(韓国)
・LGエレクトロニクス(韓国)
・ファーウェイ(中国) など
電機メーカーの子会社と関連会社
電機メーカーは売上高が大きく、事業領域が多岐に渡り、海外に進出している程度が高いことが多く、それだけ多くの関係会社を抱える。
例えば、日立製作所は、853社の連結子会社と287社の持分法適用会社(関連会社など)を抱える。東芝は282社の連結子会社と134社の持分法適用会社(関連会社など)を抱える(いずれも2022年3月時点)。