キーエンスの事業内容について見ていく(2022年3月時点)。
キーエンスとは(ひと言で)
ファクトリーオートメーション(FA)用のセンサなど計測・制御機器の大手メーカー。生産は外注するが、販売は自社で手掛ける。従業員の平均年収は上場会社の中で常にトップを争う。
キーエンスの沿革
キーエンスは1972年、リード電機として設立された。
1986年、ブランド名であったキーエンスを社名とする。翌1987年、大証二部に上場を果たした。1990年に東証一部に上場し、現在に至る。
上場会社としてのキーエンスと業種、競合他社
キーエンスは東証プライム市場に上場し、業種は「製造業」の「電気機器」に分類される。「電気機器」には次の上場会社が名を連ねる。
キーエンスはFA分野で三菱電機やオムロンなどと競合関係にある。
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業績と従業員の給与水準
キーエンスの業績は次の通り。製造業としては異質の利益水準である。
売上高:9,224億円
営業利益:4,989億円
営業利益率:54.1%
売上高:7,552億円
営業利益:4,180億円
営業利益率:55.4%
海外売上比率は62.3%であり、売上高の半分以上を海外が占める。国内向けの売上比率37.7%に続いて、中国、米国が多い。
研究開発費は216億円であり、研究開発費比率は2.3%に過ぎない。これは総合電機メーカーの基準である5%の半分の規模である。売上高の割に研究開発費が小さいが、研究開発費の割に売上高が高く効率的であるという見方もできる。
※研究開発費比率:売上高に占める研究開発費の割合。
従業員の給与水準は次の通り。利益率の高さは従業員の待遇に直結する。
従業員数:2,788
平均年齢:35.8
平均年間給与:2,279万円
従業員数:2,599
平均年齢:36.1
平均年間給与:2,182万円
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キーエンスの将来性
ここでは成長性分析を通じて、キーエンスの将来性を占う。成長性分析では、売上高成長率と純利益増加率、総資産成長率、従業員増加率を用いる。
◆ 過去5年の売上高の推移は次の通り。売上高成長率は43.3%であった。
[ 億円 ] | 2018年3月 | 2019年3月 | 2020年3月 | 2021年3月 | 2022年3月 |
売上高 | 5,268 | 5,871 | 5,518 | 5,381 | 7,552 |
◆ 過去5年の純利益の推移は次の通り。純利益増加率は44.0%であった。
[ 億円 ] | 2018年3月 | 2019年3月 | 2020年3月 | 2021年3月 | 2022年3月 |
純利益 | 2,106 | 2,261 | 1,981 | 1,973 | 3,034 |
◆ 過去5年の総資産の推移は次の通り。総資産成長率は56.4%であった。
[ 億円 ] | 2018年3月 | 2019年3月 | 2020年3月 | 2021年3月 | 2022年3月 |
総資産 | 14,862 | 16,759 | 18,360 | 20,099 | 23,240 |
◆ 過去5年の従業員数の推移は次の通り。従業員増加率は35.7%であった。
[ 人 ] | 2018年3月 | 2019年3月 | 2020年3月 | 2021年3月 | 2022年3月 |
従業員数 | 6,602 | 7,941 | 8,419 | 8,380 | 8,961 |
キーエンスは4つの指標の全てで高いプラス成長を示している。高い収益性を維持しての高い成長性であり、非の打ち所がない。
キーエンスの事業内容(セグメント)
キーエンスはグループとして「電子応用機器の製造・販売」を中心とする単一セグメントで事業を展開する。
キーエンスは多くの大手メーカーのように複数セグメントで事業を展開していない。例えば三菱電機は「電子デバイス」「情報通信システム」など6つのセグメントで事業を展開している。
ただしキーエンスは「電子応用機器の製造・販売」の他にも、子会社のエスコが不動産業、同じくイプロスが広告・マーケティング業を手掛けている。
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