KDDIは通信大手で、モバイルなどの通信サービスやコマース・金融などのライフデザインサービスを提供する。京セラは電子部品大手で、ファインセラミック技術をベースに情報通信や産業機械、環境など多種多様な市場に展開し、多角化経営を標榜する。
ここでは、KDDIと京セラ、JCOM、沖縄セルラーの関係と違いを見ていく(2022年3月時点)。
KDDIと京セラ、JCOM、沖縄セルラーの資本関係
KDDIと京セラ、JCOM、沖縄セルラーの資本関係を下の図に示す(数字は議決権の所有割合)。
「子会社」とは「親会社」が経営を支配している会社である。「関連会社」とは「その他の関係会社」が重要な影響を与えることができる子会社以外の会社である(詳細は文末)。
KDDIと京セラ、トヨタの関係
京セラはKDDIの第2位の大株主(※)である。KDDIの大株主は下記。
2位 京セラ
3位 トヨタ自動車
4位 STATE STREET BANK WEST CLIENT-TREATY 505234
KDDIは2000年、DDIとKDD、IDOが合併して発足した。京セラやトヨタがKDDIの大株主となっているのは、この発足の経緯による。DDIは京セラや三菱商事などにより設立された。KDDは、トヨタなどが設立した日本高速通信とKDDの合併により発足した。
つまり合併前の会社における大株主が、引き続きKDDIの大株主となっている。※「大株主」という語に明確な定義はないが、KDDIが京セラやトヨタ自動車を大株主としているため、これに倣った。
また、京セラの子会社である京セラコミュニケーションシステム(KCCS)にはKDDIも出資している。KCCSは京セラの子会社であり、KDDIの関連会社となっている。
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沖縄セルラー電話とKDDI、auの関係
沖縄セルラーは沖縄県の通信会社で、携帯電話で5割の県内シェアを誇る。沖縄セルラーとKDDIは、沖縄セルラーが子会社、KDDIが親会社という関係である。両社とも上場会社であるため、親子上場となっている。
沖縄セルラーは1991年、DDIによって設立された。当時は東北セルラー、関西セルラー、九州セルラーなど各地域にセルラー電話会社が存在した。2000年、沖縄セルラー以外のセルラー電話会社が合併し、エーユー(au)となった。
2001年にエーユーはKDDIと合併し消滅した為、現在は沖縄セルラーだけが残っている。なおUQコミュニケーションが営んでいたUQモバイルもKDDIが継承している。
沖縄セルラーは、KDDIより通信設備や携帯電話端末などを仕入れ、県内の顧客に提供する。また沖縄セルラーは、沖縄通信ネットワークと沖縄セルラーアグリ&マルシェを子会社として抱えている。
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JCOMとKDDIの関係
JCOMとKDDIは、JCOMが子会社、KDDIが親会社という関係である。またJCOMは住友商事の関連会社でもある。
KDDIが所有するJCOMの議決権の割合は50%である。後述のように、基本的には50%を超える割合を所有することで子会社とする。しかしKDDIはJCOMの経営を支配する力を有していると判定したため、子会社としている(支配力基準)。
2010年、KDDIはJCOM(当時ジュピターテレコム)を関連会社とした。2013年、株式の一部取得により、JCOMはKDDIの子会社となった。翌年には、ジャパンケーブルネットと合併している。
親会社と子会社、関連会社とは(関係会社)
「親会社」「子会社」もしくは「その他の関係会社」「関連会社」の関係を下の図に示す(数字は議決権の所有割合)。これらを全てまとめて「関係会社」と呼ぶ。
基本的に、図に示す議決権の所有割合によって関係が決まることが多い。ただし、その会社の重要性や具体的な関係などを考慮する場合もあり、常に議決権の所有割合によって決まる訳ではない。
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