日立Astemoの売却、上場と日立製作所、ホンダとの資本関係

2021年元旦、大手自動車部品メーカーである日立アステモ(正式には日立Astemo)が発足した。日立アステモは日立製作所傘下の日立オートモティブシステムズ(日立AMS)と本田技研工業(ホンダ)傘下のショーワ、ケーヒン、日信工業の計4社の合併により成立した企業である。

日立AMS + ショーワ + ケーヒン + 日信工業 → 日立アステモ

ここでは、これまでの日立アステモをめぐる資本関係の変遷と、現在検討されている日立アステモの売却や新規上場について見ていく。

日立アステモをめぐる資本関係の変遷

ここでは日立アステモ発足前後における、これらの企業の関係を見ていく(2022年3月時点)。下の図は2021年元旦を境として日立アステモ発足前と発足後の資本関係を示している(数字は議決権の所有割合)。

ホンダ、日立、資本関係

「子会社」とは「親会社」が経営を支配している会社である。「関連会社」とは「その他の関係会社」が重要な影響を与えることができる子会社以外の会社である(詳細は文末)。

【 子会社と関連会社 一覧 】
ホンダ 日立製作所

【合併以前】日立AMS、ショーワ、ケーヒン、日信工業

日立AMSは日立製作所の完全子会社(議決権の100%を親会社が所有)であった。日立AMSは2009年に日立製作所のオートモティブシステムグループが分離独立し、設立された子会社である。日立AMSと呼称される企業が存在したのは約10年間であった。

ショーワ、ケーヒン、日信工業は、ホンダの関連会社であった。このことからホンダ系部品メーカーと呼ばれる。この3社はいずれも上場企業であったが、合併のため上場を廃止している。

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このように完成車メーカーが上場している自動車部品メーカーを関連会社として傘下に持つことは一般に行われる。例えば、デンソーやアイシン、ジェイテクト、トヨタ紡織などはトヨタ自動車の関連会社であり、トヨタ系部品メーカーと呼ばれる。

【 詳細記事 】
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【合併以降】日立製作所、ホンダとの関係

4社が合併し日立アステモが発足後、日立製作所との関係は、日立アステモは子会社、日立製作所は親会社という関係であり続けている。また同様に、ホンダとの関係は、日立アステモが関連会社、ホンダがその他の関係会社という関係となっている。

ホンダが所有する「拒否権」

ホンダが日立アステモの議決権の33.4%を所有していることには意味がある。33.4%(即ち3分の1以上)の議決権を所有する株主には、株主総会での特別決議を単独で否決する権限(拒否権)が与えられる為である。

同じような権利として66.7%(即ち3分の2以上)の議決権を所有する株主には、株主総会の特別決議を単独で可決する権限が与えられる。日立製作所が所有する議決権は66.6%である為、この権限はない。

ただし、50%以上の議決権を所有する為、普通決議であれば単独で可決することが出来る。株主総会は基本的には普通決議によって決議されるが、事業譲渡の承認や会社の解散等の重要事項を決議する場合は特別決議によって決議される。

上場(IPO)、売却の可能性

2022年3月、日立製作所が日立アステモに関して、IPOによる上場や外部資本の受け入れを選択肢に含めるという日経の報道があった。日立製作所が上場子会社を持たない方針を維持するのであれば、日立Astemoは日立製作所の子会社ではなくなる可能性がある。

2022年7月の4~6月期決算説明会において、日立製作所の河村副社長CFOが日立アステモの今後ついて述べている。発言の要点は次の通り。

・日立アステモを連結内にとどめるか議論している
・IPO(新規上場)も含めて検討中である

2022年10月の7~9月期決算説明会においても、引き続き上記の検討中である旨の発言があった。

日立製作所はこれまで、最多で22社あった上場子会社の整理を進めてきた。2023年3月期に日立金属と日立建機の売却が完了し、上場子会社は0社となっている。これで長く続いた日立製作所の再編にメドがついたが、日立アステモのような個別案件は今後も続くと見られる。

親会社と子会社、関連会社とは

「親会社」「子会社」もしくは「その他の関係会社」「関連会社」の関係を下の図に示す(数字は議決権の所有割合)。これらを全てまとめて「関係会社」と呼ぶ。

資本関係説明

基本的に、図に示す議決権の所有割合によって関係が決まることが多い。ただし、その会社の重要性や具体的な関係などを考慮する場合もあり、常に議決権の所有割合によって決まる訳ではない。

例えば、ホンダは広汽本田汽車や東風本田汽車(いずれも中国で自動車の製造販売を行う会社)の議決権を50%所有しているが、連結子会社ではなく持分法適用会社としている。

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