ルノー・日産・三菱自動車の資本関係を分かりやすく解説

※この記事は内容に広告・プロモーションを含みます。

一般的に「ルノー・日産・三菱アライアンス」「ルノー・日産・三菱連合」などと言われ、自動車産業において最大手の一角を占める企業連合である。

2023年1月、ルノーによる日産への出資比率を引き下げる声明が発表された。声明によると今後、ルノーと日産は15%の株式を相互に持ち合うことになる。ただし、本件の協議は引き続き行われており、最終合意には至っていない(2023年1月の声明より)。

ここでは、出資比率の見直し前のアライアンスの資本関係と提携関係をわかりやすく説明する。以降の記述は日産自動車、三菱自動車工業、三菱商事により報告された2022年3月時点の情報に基づく。

※関連記事:トヨタ傘下の自動車メーカー 一覧

ルノー・日産・三菱自動車アライアンスの資本関係

ルノー・日産・三菱アライアンスに関係する企業の資本関係を示す(数字は議決権の所有割合)。

renault-nissan-mitsubishi-alliance-2022

「子会社」とは「親会社」が経営を支配している会社である。「関連会社」とは「その他の関係会社」が重要な影響を与えることができる子会社以外の会社である(詳細は文末)。

図に示すように、ルノー・日産・三菱アライアンスには親会社や子会社といった関係は存在しない

【 関連記事 】
三菱重工と三菱電機、三菱自動車の違いと関係

ルノーと日産の関係

ルノーと日産は、双方が関連会社であり、その他の関係会社でもある。どちらが親会社でどちらが子会社でもない。つまり相互に重要な影響を与えることが出来るが、どちらも経営を支配しているとは言えない。

日産が所有するルノー株式はフランス商法により議決権の行使を制限されている。また日産の所有割合は15.18 %と少ない。基本的に議決権の所有割合が20%以上の時に関連会社とする。

この状態で日産がルノーを関連会社としているのは次の理由による。

(1)改訂アライアンス基本契約(通称:RAMA)
ルノー・日産間で締結された改訂アライアンス基本契約(通称:RAMA)が有効であり、ルノーの取締役のうち2名は日産の指名を受けて選任されていること。

(2)アライアンス オペレーティング ボード
ルノー・日産・三菱自動車間で締結された覚書によるアライアンス オペレーティング ボードにおいてアライアンスに関する重要事項が議論される。

上記の理由によって日産はルノーに影響力を行使することができるため、関連会社としている。また日産自動車は上場する完成車メーカーとして日産車体を子会社としている。

※関連記事:日産の子会社と関連会社 一覧

日産と三菱自動車の関係

日産と三菱自動車は、日産がその他の関係会社、三菱自動車が関連会社という関係である。日産が三菱自動車に重要な影響を与えることが出来る。しかし日産は三菱自動車の経営を支配しているとは言えない。

日産が三菱自動車の議決権を34.0%(3分の1+α)所有しているのは、株主総会での特別決議を単独で否決する権限が与えられる為である(ホンダと日立アステモの関係も同様)。

同時に三菱商事と三菱自動車も、三菱商事がその他の関係会社、三菱自動車が関連会社という関係である。つまり三菱自動車は2つの大株主から重要な影響を受けることになる。

【 子会社と関連会社 一覧 】
三菱自動車 三菱商事

三菱自動車は三菱重工からの独立が会社設立の経緯であるが、現在では両社の資本関係は強くない。2022年3月時点で、三菱重工が所有する三菱自動車株の比率は1.44 %にすぎない。

【関連記事】
トヨタとホンダ、日産の社長、出身大学(学歴)と経歴
スズキとマツダ、スバル、三菱自動車の社長、学歴と経歴

親会社と子会社、関連会社とは

「親会社」「子会社」もしくは「その他の関係会社」「関連会社」の関係を下の図に示す(数字は議決権の所有割合)。これらを全てまとめて「関係会社」と呼ぶ。

資本関係説明

基本的に、図に示す議決権の所有割合によって関係が決まることが多い。ただし、その会社の重要性や具体的な関係などを考慮する場合もあり、常に議決権の所有割合によって決まる訳ではない。例えば、日産がルノーを関連会社とした例がそうである。

【自動車業界の記事】
トヨタ自動車とマツダ、スズキ、スバルの関係
トヨタとデンソー、アイシンの関係と違い

タイトルとURLをコピーしました