日本には2つの三井住友を冠した銀行グループが存在する。ここでは、三井住友銀行やSMBC信託銀行を傘下に擁する三井住友フィナンシャルグループと、三井住友信託銀行を傘下に擁する三井住友トラスト・ホールディングスについて見ていく(2023年3月時点)。
以下、三井住友フィナンシャルグループは三井住友FG、三井住友トラスト・ホールディングスは三井住友トラストHDと表記。
三井住友FGと三井住友トラストHDの資本関係
三井住友FGと三井住友トラストHDの資本関係を図に示す(数字は議決権の割合)。両グループに特別な資本関係は存在しない。
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「子会社」とは「親会社」が経営を支配している会社である。三井住友FGは子会社として三井住友銀行とSMBC信託銀行を傘下に擁する。三井住友トラストHDは子会社として三井住友信託銀行を傘下に擁する。
三井住友FGはグループ内に信託銀行であるSMBC信託銀行を抱える。三井住友トラストHDの中核である三井住友信託銀行とは、信託銀行として競合する関係となっている。
・SMBC信託銀行(三井住友FG)
・三井住友信託銀行(三井住友トラストHD)
また、三井住友銀行と三井住友信託銀行も住宅ローンなどで競合する関係となっている。
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三井住友FGと三井住友トラストHDの大株主
三井住友FGの大株主は次の通り。三井住友FGに親会社は存在しない。
大株主の名称 | 所有株式数の割合(%) |
日本マスタートラスト信託銀行株式会社 | 16.95 |
株式会社日本カストディ銀行 | 6.32 |
STATE STREET BANK WEST CLIENT – TREATY 505234 |
1.74 |
JPモルガン証券株式会社 | 1.74 |
NATSCUMCO | 1.69 |
SSBTC CLIENT OMNIBUS ACCOUNT | 1.56 |
バークレイズ証券株式会社 | 1.37 |
日本証券金融株式会社 | 1.08 |
ゴールドマン・サックス証券株式会社 BNYM | 1.01 |
JP MORGAN CHASE BANK 385781 | 0.94 |
三井住友トラストHDの大株主は次の通り。三井住友トラストHDに親会社は存在しない。
大株主の名称 | 所有株式数の割合(%) |
日本マスタートラスト信託銀行株式会社 | 17.51 |
株式会社日本カストディ銀行 | 6.78 |
NORTHERN TRUST CO.(AVFC)RE SILCHESTER INTERNATIONAL INVESTORS INTERNATIONAL VALUE EQUITY TRUST | 2.07 |
STATE STREET BANK WEST CLIENT ― TREATY 505234 | 1.62 |
STATE STREET BANK AND TRUST COMPANY 505001 | 1.60 |
SSBTC CLIENT OMNIBUS ACCOUNT | 1.40 |
NORTHERN TRUST CO.(AVFC) RE U.S.TAX EXEMPTED PENSION FUNDS | 1.40 |
JPモルガン証券株式会社 | 1.36 |
THE BANK OF NEW YORK MELLON 140051 |
1.36 |
JP MORGAN CHASE BANK 385781 | 1.32 |
三井住友FGと三井住友トラストHDの事業内容
都市銀行である三井住友銀行を中核とする三井住友FGと、信託銀行である三井住友信託銀行を中核とする三井住友トラストHDでは、事業内容が異なる。
三井住友FGの事業内容
三井住友FGは次の5つのセグメントで事業を展開する。5つのセグメントのうち、三井住友銀行は全てのセグメントに属する。SMBC信託銀行は市場事業部門を除く、4つのセグメントに属する。
◆ ホールセール事業部門
国内の大企業及び中堅・中小企業のお客さまに対応した業務
◆ リテール事業部門
国内の個人を中心としたお客さまに対応した業務
◆ グローバル事業部門
海外の日系・非日系企業等のお客さまに対応した業務
◆ 市場事業部門
金融マーケットに対応した業務
◆ 本社管理
上記各事業部門に属さない業務等
グローバル事業の規模が最も大きく、連結従業員の約10万人のうち、約5万人が所属する。市場事業部門が最も小さく、約1,300人が所属する。
三井住友トラストHDの事業内容
三井住友トラストHDは次の6つのセグメントで事業を展開する。6つのセグメントのうち、三井住友信託銀行は運用ビジネスを除く5つのセグメントに属する。
◆ 個人事業
個人のお客様に対するサービス業務
◆ 法人事業
法人のお客様に対するサービス業務
◆ 投資家事業
投資家のお客様に対するサービス業務
◆ 不動産事業
不動産事業サービス業務
◆ マーケット事業
マーケティング業務・マーケットメイク業務及び投資業務・財務マネージ業務
◆ 運用ビジネス
資産運用サービス業務
個人事業と法人事業の規模が大きく、連結従業員の約2万人のうち約8千人が個人事業、約4千人が法人事業に所属する。マーケット事業が最も小さく365人が所属する。
連結従業員の数は三井住友FGが10万人に対して三井住友トラストHDが2万人と、1/5の規模である。
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三井住友FGと三井住友トラストHDの沿革
似ている両グループだが、発足時期に10年の違いがある。
三井住友銀行の発足は2001年、三井住友FGの設立は2002年である。一方、三井住友トラストHDの発足は10年後の2011年、三井住友信託銀行の発足は2012年である。
三井住友FGの沿革
三井住友銀行は2002年に三井住友FGを設立、その傘下に入り現在に至る。
度重なる合併の結果、三井住友FGはさくら銀行(太陽神戸三井銀行=三井銀行+太陽神戸銀行)、住友銀行、わかしお銀行(太平洋銀行)の合流により成立したグループである。
SMBC信託銀行の沿革
SMBC信託銀行は1986年、旧ケミカル・バンクの子会社「ケミカル信託銀行」として設立された。その後のM&Aの影響により、チェース信託銀行、エス・ジー信託銀行、ソシエテジェネラル信託銀行などと商号を変更する。
2013年に三井住友銀行により買収され、商号をSMBC信託銀行に変更し、現在に至る。このようにSMBC信託銀行が三井住友FG傘下となったのは比較的最近のことであった。
三井住友トラストHDの沿革
中央三井信託銀行は2002年、三井トラストHDを設立し、その傘下に入った。2007年、三井トラストHDは中央三井トラストHDと社名を変更する。2010年、中央三井トラストHDは住友信託銀行を買収した。
中央三井信託銀行 → 三井トラストHDの傘下へ
住友信託銀行 → 中央三井トラストHDの傘下へ
その後、住友信託銀行は中央三井トラストHDの傘下にあった中央三井信託銀行と中央三井アセット信託銀行を吸収合併する。同時に社名を三井住友信託銀行とし、現在に至る。中央三井トラストHDは三井住友トラストHDと社名を変更し、現在に至る。
住友信託銀行 → 三井住友信託銀行
中央三井信託銀行 → 吸収され解散
中央三井アセット信託銀行 → 吸収され解散
その他の三井住友
「三井住友」を冠する企業は三井住友FGや三井住友トラストHDの他に、次のような企業がある。それぞれが独立した意思決定により経営統合しており、旧住友財閥と旧三井財閥の合流が図られた訳ではない。
三井住友海上火災保険
三井海上火災保険は2001年、住友海上火災保険を吸収合併し、社名を三井住友海上火災保険に変更した。これは三井住友銀行の発足と同じ時期にあたる。
三井住友海上火災保険は2007年、親会社として三井住友海上グループホールディングス(現MS&ADインシュアランスグループホールディングス)を設立し、その傘下に入った。
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三井住友建設
三井建設は2003年、住友建設を吸収合併した。同時に社名を三井住友建設に変更し、現在に至る。
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