日本の高炉メーカーは3社に集約された。日本製鉄、JFEスチール、そして神戸製鋼所である。神戸製鋼の売上は2兆円弱で推移し、他2社と比べると小粒ながらも、特色のある経営で知られている。
ここでは、神戸製鋼が傘下に擁するいくつかの上場会社について見ていく(2021年3月時点)。
神戸製鋼と神鋼商事、日本高周波鋼業、神鋼鋼線工業、大阪チタニウムの資本関係
神戸製鋼グループの上場会社は神戸製鋼所、神鋼商事、日本高周波鋼業、神鋼鋼線工業、大阪チタニウムテクノロジーズがあり、下の図のような関係となっている(数字は議決権の所有割合)。
「子会社」とは「親会社」が経営を支配している会社である。「関連会社」とは「その他の関係会社」が重要な影響を与えることができる子会社以外の会社である。
神鋼商事と神戸製鋼
神鋼商事は、鉄鋼や鉄鋼原料を扱う専門商社である。神鋼商事と神戸製鋼は、神鋼商事が関連会社、神戸製鋼がその他の関係会社という関係である。
基本的に、その他の関係会社が所有する関連会社の議決権の割合は20%~50%であるが、神戸製鋼の所有する神鋼商事の議決権は14.37%である。神戸製鋼は「実質的な影響力を持っているため関連会社とした」としている。
日本高周波鋼業と神戸製鋼
日本高周波鋼業は、特殊鋼を主力とする製鉄メーカーである。日本高周波鋼業と神戸製鋼は、日本高周波鋼業が子会社、神戸製鋼が親会社という関係である。
日本高周波鋼業は上場会社であるため親子上場となっており、この関係は第3者割当増資により子会社となった2000年から続いている。
神鋼鋼線工業と神戸製鋼
神鋼鋼線工業は、特殊鋼線、鋼索関連を主力とする加工会社である。神鋼鋼線工業と神戸製鋼は、神鋼鋼線工業が子会社、神戸製鋼が親会社という関係である。
神鋼鋼線工業は上場会社であるため、日本高周波鋼業の場合と同様に親子上場となっている。神鋼鋼線工業は1954年まで、神戸製鋼の尼崎工場であった。
基本的に、親会社が所有する子会社の議決権の割合は50%超であるが、神戸製鋼の所有する神鋼鋼線工業の議決権は43.93%である。神戸製鋼は「実質的に支配しているため子会社とした」としている。
大阪チタニウムと神戸製鋼
大阪チタニウムテクノロジーズは、チタンを主力とする非鉄金属メーカーである。大阪チタニウムと神戸製鋼は、大阪チタニウムが関連会社、神戸製鋼がその他の関係会社という関係である。
大阪チタニウムは日本製鉄との関係も深く、日本製鉄は20%弱の大阪チタニウム株を所有しており、取締役・監査役に日本製鉄出身者が一定の割合で存在する。
また、労働組合は日本製鉄グループ労働組合総連合会を上部団体としている。これは住友金属(新日本製鐵と統合し現・日本製鉄)の子会社を出自として持つからである。
その他の神戸製鋼の子会社、関連会社
環境プラントメーカーの神鋼環境ソリューションは神戸製鋼の上場子会社であった。2021年に神戸製鋼により完全子会社化され上場を廃止している。上述以外の主要な子会社としてコベルコ建機、神鋼建材工業、神鋼物流が挙げられる。
上述以外の主要な関連会社として、関西熱化学、日本エアロフォージなどが挙げられる。