エムスリーの事業について見ていく(2022年3月時点)。エムスリーは2000年、ソネット・エムスリーとして設立された。2004年に東証マザーズに上場、2010年に商号をエムスリーと変更し現在に至る。
上場会社としてのエムスリーと業種
エムスリーは東証プライム市場に上場し、業種は「サービス業」の「サービス業」に分類される。「サービス業」にはエムスリーの他、次の上場会社が名を連ねる。
・電通グループ
・リクルートホールディングス
・楽天グループ
・パーソルホールディングス
・セコム
・博報堂DYホールディングス など
ソニーグループとしてのエムスリー
エムスリーとソニーグループは、エムスリーが関連会社、ソニーグループがその他の関係会社という関係である。「関連会社」とは「その他の関係会社」が重要な影響を与えることができる子会社以外の会社である。
ソニーグループはエムスリーの議決権を33.9%所有する筆頭株主であり、またソニーグループの吉田会長兼社長CEOがエムスリーの社外取締役を兼務している。
エムスリーの業績
エムスリーは直近10年で急激な売上成長を遂げている。2013年3月期には200億円台であった売上高は現在、2,000億円を超え約10倍となった。利益率も高く、直近10年の営業利益率は25%を下回らない。
売上高:2,082億円
営業利益:951億円
営業利益率:45.7%
高収益体質を反映し、従業員の給与も高水準にある。
平均年齢:34.7歳
平均年間給与:902万円
エムスリーの将来性
ここでは成長性分析を通じて、エムスリーの将来性を占う。成長性分析では、売上高成長率と純利益増加率、総資産成長率、従業員増加率を用いる。
◆ 過去5年の売上高の推移は次の通り。売上高成長率は120.3%であった。
[ 億円 ] | 2018年3月 | 2019年3月 | 2020年3月 | 2021年3月 | 2022年3月 |
売上高 | 945 | 1,131 | 1,310 | 1,692 | 2,082 |
◆ 過去5年の純利益の推移は次の通り。純利益増加率は252.2%であった。
[ 億円 ] | 2018年3月 | 2019年3月 | 2020年3月 | 2021年3月 | 2022年3月 |
純利益 | 181 | 196 | 216 | 378 | 638 |
◆ 過去5年の総資産の推移は次の通り。総資産成長率は197.1%であった。
[ 億円 ] | 2018年3月 | 2019年3月 | 2020年3月 | 2021年3月 | 2022年3月 |
総資産 | 1,164 | 1,373 | 2,218 | 2,731 | 3,460 |
◆ 過去5年の従業員数の推移は次の通り。従業員増加率は81.7%であった。
[ 人 ] | 2018年3月 | 2019年3月 | 2020年3月 | 2021年3月 | 2022年3月 |
従業員数 | 5,165 | 6,024 | 7,127 | 8,249 | 9,384 |
エムスリーは4つの指標の全てで、大きなプラスとなっている。売上高、純利益、総資産で2倍以上、従業員数でも2倍近い成長を見せており、急成長中の企業と言える。
エムスリーの事業セグメント
エムスリーはグループとして、次に示す5つのセグメントで事業を展開する。
・エビデンスソリューション
・キャリアソリューション
・サイトソリューション
・海外
2022年3月期におけるセグメント別の売上高は次の通り。売上高の半分近くをメディカルプラットフォームが占める(41.3%)。海外売上高比率は約25%となっている。
・エビデンス:228億円(10.9%)
・キャリア:141億円(6.8%)
・サイト:352億円(16.9%)
・海外:518億円(24.9%)
なお全社調整額などを含むため、セグメント別の売上高の合計はエムスリー連結売上高と一致せず、割合の合計は100%とならない。
各セグメントの事業内容は次の通り。
メディカルプラットフォーム
・医療関連会社マーケティング支援
・調査
・一般企業向けマーケティング支援
・開業・経営サービス
・「治験君」サービス
・CSO事業
・電子カルテ等の開発・販売
・医療機器等の開発・販売
メディカルプラットフォームは、エムスリーの他、関係会社であるエムスリーマーケティングやインフロント、インサイト・アイなどが手掛ける。
エビデンスソリューション
・CRO事業
・SMO事業
エビデンスソリューションは、関係会社であるメディサイエンスプラニングやノイエスなどが手掛ける。
キャリアソリューション
・医療従事者等向け人材サービス
キャリアソリューションは、関係会社であるエムスリーキャリアが手掛ける。
サイトソリューション
・医療機関の運営サポート
・訪問看護
サイトソリューションは、関係会社であるシーユーシーやソフィアメディなどが手掛ける。
海外
・マーケティング支援
・調査
・医療従事者向け人材サービス
・治験支援事業
海外は、関係会社であるM3 USA や M3(EU) などが手掛ける。