ここでは、腕時計の国産メーカーであるセイコーグループとセイコーエプソンの関係と違いについて見ていく(2023年3月時点)。
セイコーグループとセイコーエプソンの資本関係
セイコーグループとセイコーエプソンは、いずれも東証プライム市場に上場する。
セイコーグループはセイコーエプソンに出資しており、第4位の大株主となっている。セイコーエプソンの第6位までの大株主は次の通り。
大株主の名称 | 所有株式数の割合(%) |
日本マスタートラスト信託銀行株式会社(信託口) | 23.52 |
株式会社日本カストディ銀行(信託口) | 8.04 |
三光起業株式会社 | 4.22 |
セイコーグループ株式会社 | 3.61 |
みずほ信託銀行株式会社 退職給付信託 みずほ銀行口 再信託受託者株式会社日本カストディ銀行 | 2.45 |
エプソングループ従業員持株会 | 2.23 |
セイコーグループの第10位までの大株主は次の通り。
セイコーエプソン、セイコーグループのどちらにも名を連ねる「三光起業」は創業一族である服部家の資産管理会社である。資産管理会社とは別に服部家の個人も名を連ねている。
大株主の名称 | 所有株式数の割合(%) |
三光起業株式会社 | 10.7 |
日本マスタートラスト信託銀行株式会社(信託口) | 10.4 |
服部 悦子 | 8.7 |
株式会社日本カストディ銀行(信託口) | 6.0 |
服部 真二 | 5.5 |
第一生命保険株式会社 | 4.4 |
服部 秀生 | 3.9 |
清水建設株式会社 | 1.8 |
株式会社不二ビルディング | 1.6 |
服部 洪尚 | 1.4 |
セイコーグループとセイコーエプソンのいずれにも親会社は存在しない。
【 子会社 関連会社 一覧 】
セイコーグループ セイコーエプソン
セイコーグループとセイコーエプソンの出自
セイコーグループとセイコーエプソンは同根企業である。
セイコーグループの沿革
セイコーグループは1881年に創業、1892年に「精工舎」として設立された。
精工舎はその後、服部時計店、服部セイコー、セイコー、セイコーホールディングスなどと社名を変更していく。2022年、セイコーグループと社名を変更し、現在に至る。
セイコーエプソンの沿革
1937年、「精工舎」のウオッチ部門が分離独立し、第二精工舎となる(現在のセイコーインスツル、セイコーグループの子会社)。1959年、第二精工舎の諏訪工場が分離独立し諏訪精工舎となった。
1985年、諏訪精工舎は子会社のエプソンを吸収合併し、社名をセイコーエプソンに変更した。2001年にはオリエント時計を子会社化。2017年、セイコーエプソンはオリエント時計を吸収し、オリエント時計は消滅した(ブランドは存続)。
セイコーグループの連結売上高は2,000億円規模で推移するのに対し、セイコーエプソンの連結売上高は1兆円を超える。セイコーエプソンは母体であるセイコーグループの5倍の規模を持つ企業となった。
セイコーグループとセイコーエプソンの事業内容
セイコーグループの事業内容
セイコーグループは次の3つのセグメントと「その他」で事業を展開する。
・デバイスソリューション事業
・システムソリューション事業
・その他
セグメント「エモーショナルバリューソリューション事業(以降、エモ事業)」において、ウォッチ、ウオッチムーブメント、クロック、高級宝飾・服飾・雑貨品、設備時計などを手掛ける。
セイコーグループの業績は次の通り。ウオッチなどを手掛ける「エモ事業」は、セイコーグループの連結売上高の半分以上を占める。
セイコーグループ:2,605億円
うち、エモ事業:1,707億円
セイコーグループの連結従業員およそ1万2,000名の約半分が時計事業に所属する。これはシチズン時計とほぼ同規模である。
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セイコーエプソンの事業内容
セイコーエプソンは次の3つのセグメントで事業を展開する。
・ビジュアルコミュニケーション事業
・マニュファクチャリング関連・ウエアラブル事業
このうち、「マニュファクチャリング関連・ウエアラブル事業(以降、M・W事業)」においてウォッチやウオッチムーブメントの開発、製造、販売をおこなっている。
セイコーエプソンの業績は次の通り。M・W事業は連結売上高の20%弱を占める。
M・W事業の中で特にウォッチやウオッチムーブメントを扱う事業を「ウエアラブル機器事業(以降、W事業)」と呼ぶ。W事業はセイコーエプソン連結売上高の3%を占めるに過ぎず、セイコーグループのウオッチ事業よりも極めて小規模である。
セイコーエプソン:1兆3,303億円
うち、M・W事業:2,154億円
うち、W事業:358億円
M・W事業にはセイコーエプソンの連結従業員8万人のうち、1万人が属する。セイコーエプソンの最大事業はプリンタを扱う「プリンティングソリューションズ事業」であり、従業員5万人が属する。
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