東北電力は東北6県と新潟県を地盤とする電力会社である。ここでは、東北電力と東北お得電力、東北電力フロンティア、ユアテックの違いと関係について見ていく(2022年3月時点)。
東北電力と東北電力フロンティア、ユアテックの資本関係
東北電力と東北電力フロンティア、ユアテック、東北電力ネットワークの資本関係を示す(数字は議決権の所有割合)。
「子会社」とは「親会社」が経営を支配している会社である(詳細は文末)。
詳細記事:東北電力の子会社と関連会社 一覧
東北お得電力とは
東北お得電力とは、株式会社 Qvou(読み:キューボー)が展開する新電力事業である。Qvouは東北電力とは関係がない。Qvouは兵庫県に神戸本店、東京と大阪にそれぞれ東京本社と大阪本社を置く。
Qvouは1985年、久保保険事務所として創業した。2005年、有限会社Qvouとして設立され、太陽光発電事業や不動産事業を展開する。新電力事業は2021年よりスタートした。
新電力とは、大手電力会社以外の新規参入した小売電気事業者のこと。有名な新電力に、東京ガス、SBパワー、ENEOS、auエネルギー&ライフ、大和ハウス、楽天エナジーなど。
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東北電力の事業
東北電力はグループとして、次の4つのセグメントで事業を展開する。このうち、東北電力はセグメント「発電・販売事業」に属する。
・送配電事業
・建設事業
・その他
東北電力フロンティアは「発電・販売事業」に属する。また、ユアテックは「建設事業」、東北電力ネットワークは「送配電事業」に属する。
東北電力と東北電力フロンティア
東北電力と東北電力フロンティアは、東北電力が親会社、東北電力フロンティアが子会社という関係である。東北電力フロンティアは、2021年4月に設立された新しい会社である。東北電力フロンティアは、4つのセグメントのうち「発電・販売事業」に属する。
東北電力フロンティアは「電気と様々なサービスを組み合わせた商品・サービスの販売」を事業内容としている。たとえば電気とNetflixをセットとしたプランや、電気と太陽光発電や蓄電システムとセットにしたプランが用意されている。
東北電力とユアテック
東北電力とユアテックは、東北電力が親会社、ユアテックが子会社という関係である。ユアテックは、4つのセグメントのうち「建設事業」に属する。ユアテックは東北電力の子会社であるが、東証プライム市場へ上場している。
ユアテックは、1944年、東北電気工事として設立された。1977年に東証二部へ上場、1983年に東証一部へ上場を果たしている。
東北電力が所有するユアテックの議決権は50%に満たない。後述するように、基本的には50%を超える割合を所有することで子会社とする。しかし東北電力はユアテックを「実質的に支配しているため」子会社としている(支配力基準)。
電力会社と設備工事会社の関係
各地の電力会社は、その地域の設備工事会社と資本関係を持つ。東京や関西、中国、九州などの電力会社と設備工事会社は、電力会社がその他の関係会社、設備工事会社が関連会社という関係である。
一方、東北を含め、中部や北陸などの電力会社と設備工事会社は、電力会社が親会社、設備工事会社が子会社という関係になっている。
東北電力と東北電力ネットワーク
東北電力と東北電力ネットワークは、東北電力が親会社、東北電力ネットワークは子会社という関係である。東北電力ネットワークは、4つのセグメントのうち「送配電事業」に属する。
2020年4月からの改正電気事業法は、一般送配電事業と発電事業または小売電気事業の兼業を原則禁止としている。この法律に対応するため東北電力ネットワークは設立され、東北電力グループの送配電事業を営んでいる(法的分離)。
全国の電力会社で同様の分離を行っている。東京であれば、東京電力パワーグリッド、関西であれば関西電力送配電が新しく設立され、送配電事業を営んでいる。
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親会社と子会社、関連会社とは
「親会社」「子会社」もしくは「その他の関係会社」「関連会社」の関係を下の図に示す(数字は議決権の所有割合)。これらを全てまとめて「関係会社」と呼ぶ。
基本的に、図に示す議決権の所有割合によって関係が決まることが多い。ただし、その会社の重要性や具体的な関係などを考慮する場合もあり、常に議決権の所有割合によって決まる訳ではない
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