ここでは就活生や新入社員を含む若手社員向けに、株式交換と共同株式移転(株式移転)の違いについてやさしく解説する。また具体例も示す(2021年3月時点)。
株式交換と株式移転は、いずれもM&Aの手法の1つである。株式交換は他社を買収し完全子会社とするやり方、株式移転は他社と一緒に新しい会社を作りその子会社となるやり方をとる。
株式交換
以下は株式交換をした際の、組織構成の変化を示す。この場合、A社がB社を買収している。A社はB社の株主からB社株を譲り受け、代わりにA社株を渡す(交換)。そうすることで、A社はB社株を現金で買うことなくB社の親会社となることが出来る。B社の株主にA社株を渡したため、B社の株主はA社の株主となる。
株式移転
以下は株式移転をした際の、組織構成の変化を示す。この場合、A社とB社が新しく設立したC社の子会社となる。新しいC社はA社とB社の株主からA社株、B社株を譲り受け、代わりにC社株を渡す(移転)。そうすることで、A社とB社は現金を用いることなく経営を統合することができる。A社とB社の株主は、新しいC社の株主となる。
株式交換の具体例 マツキヨココカラ&カンパニー
株式交換の具体例として、マツキヨココカラ&カンパニーを挙げる。株式交換前は、マツモトキヨシホールディングス(HD)とココカラファインという2つの上場企業があった。
マツモトキヨシHDがココカラファインの株主からココカラファイン株を譲り受け、代わりにマツモトキヨシHDの株式を渡す(交換)。この手法によりマツモトキヨシHDはココカラファインを買収し、完全子会社とした。
なお株式交換に先立ち、ココカラファインは上場を廃止している。買収後、マツモトキヨシHDはマツキヨココカラ&カンパニーと社名を変更した。
株式移転の具体例 JFEホールディングス
株式移転の具体例として、JFEホールディングスを挙げる。株式移転前は川崎製鉄、日本鋼管という2つの上場企業があった。
新設されたJFEホールディングスは川崎製鉄と日本鋼管の株主から川崎製鉄株、日本鋼管株を譲り受け、代わりにJFEホールディングス株を渡す(移転)。この手法により川崎製鉄と日本鋼管は経営を統合した。
経営を統合後、川崎製鉄は日本鋼管の鉄鋼事業を継承し、JFEスチールと社名を変更した。また、日本鋼管は川崎製鉄のエンジニアリング事業を継承し、JFEエンジニアリングと社名を変更している。
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