住友重機械と住友建機、HSC、リンクベルト、住友ナコの関係と違い

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住友重機械工業のロジスティック&コンストラクションセグメント(ここでは建機他セグメントと呼ぶ)は、2021年3月までの建設機械セグメントと産業機械セグメントを統廃合して定められた。

ここでは住友重機械グループの建機他セグメントにおいて、運搬機械(住友重機械搬送システム)を除いた働くクルマに関連する事業を営むグループ会社との関係を見ていく。

住友重機械と建機他セグメント各社の資本関係

関連する事業を行うグループ会社は、住友建機、住友重機械建機クレーン(HSC)、リンクベルト(LBCE:Link belt construction equipment)、住友ナコフォークリフト(住友ナコ)である。下の図に、住友重機械と4社の資本関係を示す(数字は議決権の所有割合、2022年3月時点)。

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「子会社」とは「親会社」が経営を支配している会社である。「関連会社」とは「その他の関係会社」が重要な影響を与えることができる子会社以外の会社である(詳細は文末)。(※ここでは、子会社:連結子会社、関連会社:持分法適用の関連会社)

※関連記事:住友重機械の子会社と関連会社 一覧

住友建機

住友建機は、住友重機械グループの建機他セグメントにおいて中核をなす。住友建機と住友重機械は、住友建機が子会社、住友重機械が親会社という関係である。住友建機は1986年に住友重機械より分離独立して成立した。住友建機は建機他セグメントにおいて、油圧ショベルと道路機械の製造・販売を担う。

住友建機の油圧ショベルは当初、後述するリンクベルトからの技術供与により成立した。当時のブランドを「住友ーリンクベルト」という。また道路機械においては、中堅重工であった新潟鐵工所が会社更生法を適用し破綻した際、新潟鐵工所の道路機械事業を譲受している。

住友建機は住友重機械グループにおいて大きな割合を占める。2019年3月期~2021年3月期までの3期、住友重機械の連結売上高は8,491億円~9,031億円であった。この時、住友建機の単体売上高は1,187億円~1,375億円である。さらに海外工場などでの売上が追加される。なお、この時の住友重機械の単体売上高は2,038億円~2,385億円である。

住友重機械建機クレーン(HSC)

住友重機械建機クレーン(HSC)と住友重機械は、HSCが子会社、住友重機械が親会社という関係である。またHSCと日立建機は、HSCが関連会社、日立建機がその他の関係会社という関係である。HSCは建機他セグメントにおいて、クローラクレーンの製造・販売を担う。

※関連記事:日立建機と日立建機日本、ティエラ、カミーノの関係と違い

HSCは2001年に住友建機より分離独立し成立した。2002年に日立建機のクレーン事業と統合したことで、住友重機械、日立建機双方の関連会社となったが、2017年に再び住友重機械の子会社となっている。

(注)2022年11月、日立建機は所有する住友重機械建機クレーンの株式を全て、住友重機械に売却すると発表した。売却が完了次第、住友重機械建機クレーンは住友重機械の完全子会社となる

ブランド名であるHSCは住友重機械、日立建機の合弁会社時代の社名である日立住友重機械建機クレーン(Hitachi Sumitomo heavy industries construction machinery cranes)が由来であるが、現在ではHigh-quality、Satisfaction、Confidenceの頭文字と再定義されている。

リンクベルト(LBCE)

リンクベルト(LBCE)と住友重機械は、LBCEが子会社、住友重機械が親会社という関係である。LBCEは建機他セグメントにおいて、米州でのラフテレーンクレーンなどの製造・販売を担う。HSCとLBCEの違いは、HSCのクレーンはクローラなのに対してLBCEのクレーンはホイールという点である。

※クローラ:いわゆるキャタピラ、ホイール:いわゆるタイヤ。

リンクベルト(現在のLBCEまでの変遷を含む)の歴史は長く、設立は1880年である。建設機械がまだ蒸気機関で動く時代であった。その後、動力はディーゼルエンジン化され、さらに建設機械は油圧化された。

リンクベルトはクリステンセンのイノベーションのジレンマにおいて、油圧化というイノベーションを乗り越えた建機メーカー3社のうちの1社として言及されている。ただしその後、油圧式の建設機械(油圧ショベル)の製造から撤退し、技術供与先であった住友建機からOEM供給を受けることとなる。

住友建機の設立と同じ1986年に現在のLBCEが設立される。さらに1998年には油圧ショベルの販売を住友建機とCASE(現 CNH Industrial)との合弁会社であるLBXに移管し撤退した。

これにより現在のクレーン専業メーカーである現在のLBCEの体制となる。また、後にCASEがLBXの経営から撤退したため、LBXは住友建機の完全子会社となる。完全子会社となった現在でもLBXが販売を担当する米州では、住友ブランドではなく住友建機が製造したリンクベルトブランドの油圧ショベルを販売している。

つまり米州におけるリンクベルトブランドの建設機械は2社から供給されている。クレーンは住友重機械の子会社であるLBCEが、油圧ショベルは住友建機の子会社であるLBXが担っている。

住友ナコフォークリフト

住友ナコフォークリフト(住友ナコ)は、住友重機械とHyster-Yale Materials Handling(Hyster-Yale)の合弁会社であり、双方の関連会社である。また住友ナコに出資する双方の会社は、住友ナコのその他の関係会社である。

住友ナコは日本国内での住友ブランドのフォークリフトと日本国外でのHysterもしくはYaleブランドのフォークリフトの製造・販売を担う。

親会社と子会社、関連会社とは

最後に「親会社」「子会社」もしくは「その他の関係会社」「関連会社」の関係を下の図に示す(数字は議決権の所有割合)。これらを全てまとめて「関係会社」と呼ぶ。

資本関係説明

基本的に、図に示す議決権の所有割合によって関係が決まることが多い。ただし、その会社の重要性や具体的な関係などを考慮する場合もあり、常に議決権の所有割合によって決まる訳ではない。

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