第一生命と第一フロンティア生命、ネオファースト生命の関係と違い

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第一生命は日本生命などと並ぶ生命保険の雄である。ここでは第一生命保険と第一フロンティア生命保険、ネオファースト生命保険の関係と違いを見ていく。

第一生命グループの資本関係

第一生命と第一フロンティア生命、ネオファースト生命の資本関係を示す(2022年3月時点、数字は議決権の所有割合)。

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「子会社」とは「親会社」が経営を支配している会社である(詳細は文末)。第一生命、第一フロンティア生命、ネオファースト生命の3社は、第一生命ホールディングス(HD)の完全子会社となっている。

2014年に第一生命(現 第一生命HD)が、第一フロンティア(現 第一フロンティア生命)と損保ジャパン・ディー・アイ・ワイ生命保険(現 ネオファースト生命)を買収し子会社とした。第一生命は2016年、第一生命ホールディングスと商号を変更し、現在の持株会社体制となっている。

【 2014年 第一生命による買収と商号の変更 】
第一フロンティア → 第一フロンティア生命
損保ジャパン・ディー・アイ・ワイ生命保険 → ネオファースト生命
【 2016年 第一生命の持株会社化 】
第一生命 → 第一生命HD
(新設)→ 第一生命

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第一生命グループの事業

第一生命HDは次に示す3つの事業を抱える。

【 第一生命HDの3事業 】
・国内生命保険事業
・海外保険事業
・その他事業

第一生命と第一フロンティア生命、ネオファースト生命はこのうち、国内生命保険事業に含まれる。第一生命グループの全社員6万5千人のうち、5万7千人は国内生命保険事業に属する。

海外保険事業は米国のProtectiveや豪州のTALなどを子会社として抱え、その他事業は企業年金ビジネスサービスやアセットマネジメントOneなどを子会社として抱える。

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第一生命と第一フロンティア生命、ネオファースト生命の違い

第一生命HDの国内生命保険事業は「マルチブランド・マルチチャネル戦略」を推進している。これは特色の異なる3社の強みを活かし、多様化する顧客のニーズに応えるための戦略である。下の図で3社の違いを示している。

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第一生命や第一フロンティア生命は従来型の市場を担当する。市場は成熟しているが、大規模である。第一生命は営業職員や代理店を用いて、第一フロンティア生命は銀行や証券会社を通して、高付加価値なサービスを提供する。

一方、ネオファースト生命は第一生命や第一フロンティア生命がカバーできていない市場を担当する。この市場は未成熟であり、小規模である。この市場に銀行や来店型のショップを通してシンプルな商品、低価格で簡単・簡便なサービスを提供する。

第一生命と第一フロンティア生命、ネオファースト生命の業績

第一生命HDと第一フロンティア生命、ネオファースト生命の経常収益と純利益を見ていく。第一生命HDの2020年度、2021年度の業績は以下となった。

2020年度 → 2021年度
経常収益:7兆8,278億円 → 8兆2,0097億円
純利益:3,637億円 → 4,093億円

3社の経常収益

国内生命保険事業3社の単体業績を示す。3社の保険料等収入は以下となった。保険料等収入とは契約者から払い込まれる保険料による収益のこと。生命保険会社の収益の大半は、この保険料等収入である。

保険料等収入:2020年度 → 2021年度
第一生命:2兆2,854億円 → 2兆2,761億円
第一フロンティア生命:1兆1,675億円 → 1兆5,030億円
ネオファースト生命:1,411億円 → 1,417億円

保険料等収入から3社の規模を見ると、第一生命が最も大きく、次いで第一フロンティア生命となる。ネオファースト生命は2社に比べ10%~20%程度と小さい規模となっている。

3社の純利益とネオファースト生命の赤字

純利益:2020年度 → 2021年度
第一生命:1,960億円 → 1,997億円
第一フロンティア生命:863億円 → 1,386億円
ネオファースト生命:△141億円 → △68億円

ネオファースト生命を除く2社は黒字を確保している。ネオファースト生命は創業した2014年度に4億円の利益を計上して以降、赤字が続いている。最も大幅の損失は2019年度の163億円であった。なお、この年に第一フロンティア生命は1,000億円の損失を計上している。

親会社と子会社、関連会社とは

「親会社」「子会社」もしくは「その他の関係会社」「関連会社」の関係を下の図に示す(数字は議決権の所有割合)。これらを全てまとめて「関係会社」と呼ぶ。

資本関係説明

基本的に、図に示す議決権の所有割合によって関係が決まることが多い。ただし、その会社の重要性や具体的な関係などを考慮する場合もあり、常に議決権の所有割合によって決まる訳ではない。

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