CAGRとYoYの違いについて述べる。また具体例も示す(2021年3月時点)。
CAGRとYoYはどちらも年単位での成長率を表す指標である。CAGR(Compound annual growth rate)は年平均成長率、YoY(year over year)は前年比の意味である。CAGRをCompound average growth rate の意味とする場合もある。
具体例として、2018年→2022年まで下に示す売上推移であった、ある企業A社のCAGRとYoYの違いを見ていく。
CAGR
まずA社のCAGRを示す。上記A社の売上推移をグラフにしたのが下の図である。A社の最初の年は100億円、最後の年は140億円の売上であった。CAGRは最初の年と最後の年の数字しか見ない。
グラフに示す点線の矢印がCAGRである。途中の年でどんなに売上が上がろうと下がろうともCAGRには影響しない。
CAGRの計算式を下に示す。計算にはエクセルや関数電卓を用いる。
( 最後の年の売上 ÷ 最初の年の売上 )^( 1 ÷( 最後の年 – 最初の年 ))- 1
A社は2018年→2022年までで、100億円→140億円まで成長したと考える。A社の場合は、下記の計算によりCAGR = 8.8 % となる。
( 140億円 ÷ 100億円 )^( 1 ÷( 2022 – 2018 ))- 1 = 0.0877…
2018年→2022年までの4年間で、100億円→140億円まで40億円の成長をした為、CAGR = 10 % とするのは誤りである。CAGR = 10 % であれば、最後の年の売上は146億円となる。
YoY
次にA社のYoYを示す。YoYはその年、前年と比べて何%成長したかを求める。2018年→2019年は100億円→120億円に成長した為、下記の計算により2019年のYoY = 20 % となる。
2019年のYoY = ( 120億円 – 100億円 )÷ 100億円 = 0.2
同様に、その他の年のYoYは下記の通りとなる。
2020年のYoY = -33 % ( 120億円 → 80億円 )
2021年のYoY = 100 % ( 80億円 → 160億円 )
2022年のYoY = -12.5 % ( 160億円 → 140億円 )
上記の例では年ごとの比較をしたが、YoYは同じ月や同じ四半期の年ごとの成長を見るために用いることが多い。例えば、2021年5月と2022年5月の比較、2021年1Qと2022年1Qの比較などである。
また月ごと(例:6月と7月)の比較ならMoM(前月比)、四半期ごと(例:1Qと2Q)の比較ならQoQ(前四半期比)を用いる。