アスクルの事業について見ていく(2022年5月時点)。
アスクルの沿革
アスクルは1993年、プラス株式会社によるアスクル事業の開始に始まる。1997年、休眠会社をアスクル株式会社とし、プラスのアスクル事業を譲り受ける。2000年にJASDAQに上場、2004年には東証一部へ上場を果たした。
2012年にヤフー(現 Zホールディングス)と業務資本提携を締結し、ヤフーの傘下に入った。
上場会社としてのアスクルと業種
アスクルは東証プライム市場に上場し、業種は「商業」の「小売業」に分類される。「小売業」にはアスクルの他、次の上場会社が名を連ねる。
・イオン
・ファーストリテイリング
・パン・パシフィック・IHD
・ヤマダHD
・ウエルシアHD
・ ツルハHD
・ビックカメラ など
Zホールディングス傘下としてのアスクル
Zホールディングスはアスクルを連結子会社としている。アスクルはZホールディングスを親会社とはしておらず、その他の関係会社としている。
Zホールディングスはソフトバンクグループの子会社であり、ソフトバンクグループジャパン、ソフトバンク、Aホールディングスの子会社でもある。つまり、アスクルはソフトバンクグループ傘下ともいえる。
参考:ソフトバンクとZホールディングス、ヤフー、ラインの関係
アスクルの業績と従業員の給与水準
アスクルは直近10年で、売上高を2,000億円台から4,000億円台にほぼ倍増させている。売上高の割に利益は大きくなく、直近10年で営業利益率が5%を超えたことはない。ただしその間も営業黒字、最終黒字は確保している。
売上高:4,285億円
営業利益:143億円
営業利益率:3.3%
従業員の給与水準は次の通り。
平均年齢:41.1歳
平均年間給与:776万円
アスクルの将来性
ここでは成長性分析を通じて、アスクルの将来性を占う。成長性分析では、売上高成長率と純利益増加率、総資産成長率、従業員増加率を用いる。
◆ 過去5年の売上高の推移は次の通り。売上高成長率は18.9%であった。
[ 億円 ] | 2018年5月 | 2019年5月 | 2020年5月 | 2021年5月 | 2022年5月 |
売上高 | 3,604 | 3,875 | 4,004 | 4,222 | 4,285 |
◆ 過去5年の純利益の推移は次の通り。純利益増加率は96.2%であった。
[ 億円 ] | 2018年5月 | 2019年5月 | 2020年5月 | 2021年5月 | 2022年5月 |
純利益 | 47 | 4 | 57 | 78 | 92 |
◆ 過去5年の総資産の推移は次の通り。総資産成長率は8.2%であった。
[ 億円 ] | 2018年5月 | 2019年5月 | 2020年5月 | 2021年5月 | 2022年5月 |
総資産 | 1,737 | 1,691 | 1,741 | 1,901 | 1,880 |
◆ 過去5年の従業員数の推移は次の通り。従業員増加率は4.5%であった。
[ 人 ] | 2018年5月 | 2019年5月 | 2020年5月 | 2021年5月 | 2022年5月 |
従業員数 | 3,235 | 3,477 | 3,550 | 3,297 | 3,380 |
アスクルは4つの指標の全てでプラス成長を示している。特に純利益は2倍近い成長を見せているが、まだ十分なレベルにはない。
アスクルの事業セグメント
アスクルはグループとして、次に示す2つのセグメントで事業を展開する。アスクルグループは、アスクルと子会社8社で構成される。
・ロジスティクス事業
2022年5月期におけるセグメント別の売上高は次の通り。ほぼ全ての売上高をeコマース事業が計上している。またロジスティクス事業は34億円のセグメント損失(赤字)を計上している。
ロジスティクス:90億円
なお全社調整分を含むため、セグメント別の売上高の合計はアスクル連結売上高と一致しない。
eコマース事業
eコマース事業は、OA・PC用品や事務用品、オフィス生活用品の他、章句良品や化粧品、ペット用品まで手掛ける。販売チャネルはBtoB事業とBtoC事業に区分される。
BtoB事業は、インターネットやFAXで注文を受けたオフィス用品などを翌日に配送するサービス。アスクルの他、子会社のアルファパーチェスやビジネスマート、ソロエルがBtoB事業に属する。
BtoC事業は、BtoB事業を一般消費者向けに展開したサービス「LOHACO」を手掛ける。アスクルの他、子会社のチャームなどがBtoC事業に属する。
ロジスティクス事業
ロジスティクス事業は、eコマース事業で培った物流ノウハウを、物流や配送の請け負いや輸送サービスに展開している。子会社のASKUL LOGISTがロジスティクス事業に属する。