マレリ(旧カルソニックカンセイ)と東京ラヂエーター製造の関係

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2017年、日産は子会社の自動車部品メーカーであるカルソニックカンセイを米国の投資ファンドであるKKRに売却した。

KKRはカルソニックカンセイの他に、2014年にパナソニックのヘルスケア事業、2015年にはパイオニアのディスクジョッキー事業、2017年に日立製作所の上場子会社である日立工機を買収するなど日本でも活躍する世界的な投資会社である。

マレリ(旧カルソニックカンセイ)を巡る資本関係の変遷

KKR(正確にはCKホールディングス)に売却され、日産の連結から外れたカルソニックカンセイを巡る資本関係は、下の図の「マレリ買収前」で示す状態である(CK HD:CKホールディングス)。

マレリ資本関係

東京ラヂエーター製造はカルソニックカンセイの上場する子会社である。また日産によってCKホールディングスへ売却される以前のカルソニックカンセイは、日産の子会社であり上場会社であった。つまり、日産、カルソニックカンセイ、東京ラヂエーター製造の3代にわたる親子上場の状態であった。

マニエッティ・マレリ買収前

日産によってCKホールディングスへ売却された後(マレリ買収前の状態)のカルソニックカンセイは、CKホールディングスの完全子会社となることで、上場を廃止している。よって「マレリ買収以前」の状態において、上場会社は東京ラヂエーター製造のみである。

その後の2019年、CKホールディングスは欧州企業マニエッティ・マレリの買収を決める。マニエッティ・マレリは自動車大手フィアット・クライスラー・オートモービルズ(現ステランティス)傘下の自動車部品メーカーであった。

※関連記事:ルノー・日産・三菱自動車アライアンスの資本関係

マニエッティ・マレリ買収後

マニエッティ・マレリを買収後、買収したCKホールディングス、CKホールディングスの子会社であるカルソニックカンセイ、買収されたマニエッティ・マレリは下記のような社名の変更を行い企業グループとしてのブランド名を「マレリ」に統一している。

・CKホールディングス → マニエッティ・マレリCK ホールディングス
・カルソニックカンセイ → マレリ
・マニエッティ・マレリ → マレリ・ヨーロッパ

ここで、「カルソニックカンセイ」ブランドを捨てることとなった。「カルソニックカンセイ」ではなく「マレリ」が選ばれたのは、国際的な知名度の為とされる。その後、2020年にマニエッティ・マレリCK ホールディングスはマレリホールディングスと社名を変え、上の図の「マレリ買収後」の状態となる。

東京ラヂエーター製造

カルソニックカンセイが日産の子会社であった時代、カルソニックカンセイがCKホールディングスへ売却された後の「マレリ買収前」の時代、そしてマニエッティ・マレリが買収された後の「マレリ買収後」の時代、この3つの時代を通して東京ラヂエーター製造は上場する子会社であり続けている。

なお基本的に子会社とは、親会社が50%を超える議決権を所有するものとされるが、この限りではない。現マレリの所有する東京ラヂエーター製造の議決権の割合は40.1%にとどまる。

また、カルソニックカンセイが日産の子会社であった当時も、日産が所有するカルソニックカンセイの議決権の割合は41.6%にとどまっていた。これは50%以下であっても「実質的に支配しているため」と説明される(支配力基準)。

マレリの事業再生ADRと簡易再生

2022年3月1日、マレリは事業再生ADRの手続きを申請した。事業再生ADRとは、会社更生法や民事再生法などの法律(法的整理)によらず、事業再生を図るための方法(私的整理)の1つである。

申請をしたのは、上述のマレリホールディングスとマレリ、そしてマレリ九州、マレリ福島、マレリマシーンワークスの計5社で、東京ラヂエーター製造は含まれていない。

2022年6月24日、事業再生ADRが成立せず、法的整理に移行することが報道された。マレリは民事再生の一種である簡易再生の制度を用いた再生を目指すことになる。

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