JTBとHIS、KNT-CTの赤字と黒字化

旅行業は感染症の影響を大きく受けた業界の1つに数えられる。東京商工リサーチの調査は、旅行業1110社の合計売上高はパンデミック前から73.8%減少と報告した。

ここでは大手旅行業であるJTB、HIS、近畿日本ツーリストやクラブツーリズムを傘下に抱えるKNT-CTホールディングスの業績を見ていく。なおJTBは財団法人日本交通公社の営業部門を前身とする非上場会社、HISは上場会社、KNT-CTは近鉄グループホールディングスの子会社であり上場会社である。

売上高の推移

JTB、HIS、KNT-CTの売上高の推移を示す。HISは10月期決算、JTBとKNT-CTは3月期決算である。そのため、JTBとKNT-CTには2ヶ月分の感染症の影響が含まれる(パンデミックを2020年2月~とした場合)。

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2020年度の3社の売上高は2019年度比で30%~50%と大幅に下落している。同時期の日本人出国者数と訪日外客数は前年比30%程度となっている。

営業利益の推移

JTB、HIS、KNT-CTの営業利益の推移を示す。営業利益とは本業で稼いだ利益のことである。JTBとHISは2020年度から、KNT-CTは2019年度から営業赤字(営業損失)となっている。

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JTBはグループ全体で社員を6,500人削減し、国内店舗を115店削減すると報道された。6,500人の削減は新卒採用の見合わせや定年退職による自然減によるとされている。

HISは社員をグループ外の企業に出向されることで希望退職を行わないとしている。KNT-CTは希望退職に1376人が応募したと発表している。

純利益の推移

JTB、HIS、KNT-CTの純利益の推移を示す。純利益とは、本業以外の利益や損失も計上した上で税金を全て支払った結果、最後に残った利益のことである。

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営業利益と同じく、JTBとHISは2020年度から、KNT-CTは2019年度から最終赤字(純損失)となっている。

ただし、JTBは2021年度の純利益が258億円となり、黒字化している。これはJTBの本社ビル売却などに伴い固定資産売却益の316億円を計上した影響が大きい。また、HISも本社ビルのフロアを324億円で売却している。

KNT-CTは2020年度の最終赤字により債務超過に転落した。債務超過とは負債が資産より多い状態のことである。債務超過がすぐに経営破綻へつながる訳ではない。しかし債務超過の期間によって上場廃止や、金融機関からの融資について厳しい状態へ追い込まれる。

債務超過とは【図解】

KNT-CTは2021年度、親会社である近鉄グループホールディングスなどへ新株を割り当てることで資本を増強し、債務超過を解消している(第3者割当増資)。

黒字化の見通し

JTBは2022年度について、売上高:1兆150億円、営業利益:63億円と、営業利益でも黒字化の見通しを立てている(2021年度は49億円の営業赤字)。

HISは2022年度について、”感染症による影響を現時点で合理的に算定することが困難” であるため、業績予想を未定としている。

KNT-CTは2022年度について、売上高:2590億円、営業利益:40億円、純利益:40億円と、営業利益、純利益とも黒字化の見通しを立てている。2021年度は77億円の営業赤字、58億円の最終赤字であった。

こちらは、業界関係者や就活生、転職者に向けた旅行業界の図解。業界地図や動向が解説されている。図は多めで、業界用語集もあり。あわせてご参照ください。

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