豊田通商、トヨタ紡織、豊田合成はいずれもトヨタグループを代表する上場会社であり、トヨタ自動車の関連会社である(子会社ではない)。
ここでは総合商社である豊田通商と、自動車部品メーカーであるトヨタ紡織、豊田合成の3社の取締役・監査役に占めるトヨタ自動車出身者の割合と推移を見ていく(2021年3月時点)。

トヨタ出身役員の割合
下の表に、各企業の取締役・監査役に占めるトヨタ自動車出身者の割合を示す。「生え抜き 等」とは全取締役・監査役からトヨタ自動車出身の取締役・監査役を除いた割合である。
「トヨタ出身」とは、キャリアのスタートがトヨタ自動車、もしくは前身のトヨタ自動車工業・トヨタ自動車販売であった取締役・監査役の割合である。
上記の期間中、豊田通商の取締役・監査役の数は13名~17名であったが、トヨタ自動車出身者は常に1名であった。デンソーの場合もトヨタ自動車出身者は1名のみであったが、取締役・監査役の母数の関係で、豊田通商におけるトヨタ自動車出身者の方が割合としては少なくなっている。
2020年度(2021年3月期)において、1名のトヨタ自動車出身者は豊田周平 トヨタ紡織会長である。ルノーでキャリアをスタートさせ中途で海外現地法人からトヨタ入りした役員が1名、名を連ねている。ただし、上述した「トヨタ出身」の定義よりトヨタ自動車出身者としてカウントしていない。
また、代表取締役の4名は全員が豊田通商もしくはトーメンの生え抜きである。2006年、トーメンは豊田通商の合併し消滅した。トーメインとの合併により、豊田通商は総合商社としての地位を獲得することになる。
トヨタ紡織の取締役・監査役に占めるトヨタ自動車出身者の割合は全期間に渡って半数程度となっている。2020年度(2021年3月期)においては過半数となっている。また、2名の代表取締役はいずれもトヨタ自動車の出身者である。
トヨタ自動車出身以外の社外取締役・社外監査役も存在するため、生え抜きは1名のみとなっている。その1名は、2004年にトヨタ紡織と合併したアラコ(旧 荒川車体工業)の出身者であるため、トヨタ紡織にはトヨタ紡織でキャリアをスタートさせた取締役・監査役はいない。※ 現在のアラコは旧 協栄産業 → 旧 KYOEI ARACO → 現 アラコであり、旧 荒川車体工業ではない。
豊田合成の取締役・監査役に占めるトヨタ自動車出身者の割合は全期間に渡って1/3強となっている。これは豊田自動織機の場合に近い数字である。ただし、豊田合成の場合は代表取締役の2名がいずれも生え抜きである。
トヨタ出身役員の推移
上の表で示した3社の取締役・監査役に占めるトヨタ自動車出身者の割合をグラフに示した。豊田通商、豊田合成は多少の上下があるものの、トヨタ自動車が常に一定の割合の人材を3社の取締役・監査役として送り込んでいることが分かる。
トヨタ紡織はトヨタ自動車出身者の割合が増えているように見えるが、この間に取締役・監査役の数が1名減り、トヨタ自動車出身者が1名増えたのみである。