富士古河E&Cは、電気設備や空調設備の工事を担う上場企業である。ここでは富士古河E&Cと大株主である古河電気工業(古河電工)、富士電機との関係を見ていく(2021年3月期)。
古河電工と富士電機、富士古河E&Cの資本関係
古河電工と富士電機、富士古河E&Cの資本関係を下の図に示す(数字は議決権の所有割合)。
「子会社」とは「親会社」が経営を支配している会社である。「関連会社」とは「その他の関係会社」が重要な影響を与えることができる子会社以外の会社である(詳細は文末)。
富士古河E&Cと古河電工は、富士古河E&Cが関連会社、古河電工がその他の関係会社という関係である。また、富士古河E&Cと富士電機は、富士古河E&Cが子会社、富士電機は親会社という関係である。富士古河E&C、富士電機ともに上場会社であるため、親子上場である。
基本的に、親会社が所有する子会社の議決権の割合は50%超であるが、富士電機の所有富士古河E&Cの議決権は46.5%と50%に届いていない。富士電機は「実質的に支配しているため子会社とした」としている。
旧 古河財閥としての古河電工と富士電機
富士古河E&Cは2009年、富士電機の上場子会社であった富士電機E&Cが富士電機総設、および古河総合設備(古河電工の上場子会社)と合併し発足した。富士電機の上場子会社は富士古河E&Cのみとなっている。一方、古河電工は古河電池と東京特殊電線を上場子会社として擁する。
富士古河E&Cは富士電機の子会社であることから、富士電機系と説明されることがあるが、富士電機の起源は古河電工である。1923年、古河電工と独シーメンス(ジーメンスとも発音)との合弁により富士電機は設立された。富士の「富」は古河の「ふ」、「士」はジーメンスの「じ」である。
なお富士通は富士電機を起源として持つ。1935年に富士電機より電話交換装置・電話機等の製造・販売権を継承し、設立された。さらにファナックは1972年に富士通のNC部門が分離独立して設立された会社である。また、足尾銅山鉱毒事件で有名な古河機械金属(旧 古河鉱業)と上述した古河電工、富士電機、富士通の4社で、旧古河財閥の中核企業とされる。
親会社と子会社、関連会社とは
「親会社」「子会社」もしくは「その他の関係会社」「関連会社」の関係を下の図に示す(数字は議決権の所有割合)。これらを全てまとめて「関係会社」と呼ぶ。
基本的に、図に示す議決権の所有割合によって関係が決まることが多い。ただし、その会社の重要性や具体的な関係などを考慮する場合もあり、常に議決権の所有割合によって決まる訳ではない。